ワインの話し つづき・・・

 杉浦日向子さんの本のどこぞのページに書いてあった、ソバ屋の評価は4度足を運んでから口に出すように・・・というようなニュアンスの言葉を思い出しています。
 一度や二度ほど足を運んだからといって、ウマイマズイを決めつけないようにという、食べる側のたしなみの言葉と受け止めています。


 ワインは当たり年と外れ年があるそうです。
 チリ産の「サンタ・ヘレナ・アルパカ・カベルネ・メルロー」、昨夜初めて口にしましたが、期待の飲み心地から見事に外れていました。
 ○△×サイ。ひとことでいうとそんな感じの舌の感触でした。


 好みに合わなければお披露目することもありませんので、ソバはいつも食べ終わってからブログに載せていました。
 ワインも同様に、飲んだ後に載せるか載せないか判断すれば良かったのにな。と、反省しているところです。




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手打ちそば


 「ソバ」というと、杉浦日向子さんを思い出します。

 今、新潮文庫版の「百物語」を読み直しているところです。
 後掲「解説」のところで、高橋義夫氏は、「・・・日向子さんは絵筆をおいたと宣言されている。 すると、もはや『百物語』一篇を見おさめに、日向子流黄表紙は蔵にしまわれることになる。惜しむべし。といいたいところだが、御本人の決心が固いようだから、いたしかたない。ファンはこの文庫本を、形見おくりと思って、一生たいせつにしなければならない。・・・平成7年10月、作家」と述べています。
 彼女は、1958(昭和33)年11月30日に生まれ、2005(平成17)年7月22日になくなりました。ご存命ならば御年57歳となります。



 ―― たとえば、私たちは毎日その日の天候や行動内容によって最適と思われる服を選んでいるが、そんなふうに、ソバ屋を選ぶことが、真っ当なソバ客のたしなみであろう。 その日の気分にふさわしい店はきっとある。定番も冒険も、望みのまま。ただし、冒険の後に文句をいうときは、再訪する場合が鉄則。金輪際さようならなら、グチなしでさらり別れよう。 ――
と、日向子さんは「ソバ屋の客のたしなみ」で、おっしゃっています。
 《ソバ屋で憩う ―悦楽の名店ガイド101―新潮文庫 》

 ソバ屋の主が病気がちで、年内で店じまいするという話が、とある日の駅前の居酒屋での飲み会で出てきたこともあり、今までそれぞれ一度暖簾をくぐったソバ屋をあらためて再訪しようと思いたちました。
 勿論、今回は地元のソバ屋ばかりとなります。
 新そばの香りが鼻腔をくすぐるはずの師走のどこかの一日、あなたもソバ屋に出かけてみませんか。



紅葉 もみぢ もみじ


 「紅葉」、「黄葉」、何れも晩秋(10月)の季語です。
 鮮麗な楓の類とはまた別に、「雑木紅葉」の、楢、櫟、欅などの紅葉(こうよう)も趣が深いですね。
 12月に入ってようやく紅葉(こうよう)に装いだしたお山の風情です。

 黄葉山紅葉揺らぐか風の音  むさしの想坊

①20151204もみじ

②もみじ20151204

③もみじ20151204

④もみじ20151204

⑤もみじ20151204

⑥もみじ20151204



杉浦日向子さん 間もなく56歳の誕生日


杉浦日向子さん、まもなく56歳の誕生日


 鈴木順子さんが本名です。
 1958年(昭和33年)11月30日生れですから、ご存命ならまもなく56歳となるところですが、彼女は2005年(平成17年)7月22日、46歳で帰らぬ人となっています。
永眠されていつのまにか9年となっていました。

 日向子さんの一周期に合わせ、没後最初の単行本となった『杉浦日向子の 食・道・楽』が、2006年(平成18年)7月22日に新潮社より刊行されています。 
 
 「妹としての杉浦日向子」と題して、『杉浦日向子の 食・道・楽』の新潮文庫巻末に、写真家の鈴木雅也が、「杉浦日向子という作家の仕事と人柄について、まだ知らない方にも伝えられるような内容でと、原稿を頼まれました。何故かというと、私は彼女にとって、一人しかいない五つ年上の兄だからです。・・・」という書き出しから始まる文を載せています。

 ちょっと長くなりますが、兄としての妹の文章を思い遣る気持ちが、この中に凝縮されていますので、最後までお付き合いください。

 『 ・・・ ・・・ 妹の漫画の熱烈なファンでもあった私ですが、彼女の書く文章も日向子らしさにあふれていて、軽妙で分かりやすく上手いと思います。ただ正直この本の読み始めはちょっと説教臭い。目線が少し高いことも気になります。江戸時代からやってきて、古き良き気質を尊び、少々頑固な知識人である「杉浦日向子」だったらこう書くのではと、少し無理をしているところがあると思いました。それはそこまでして、今までの自分の経験したことや、人生を言いたい時期だったから、かもしれません。そのことが昔、妹が幼稚園の門をくぐるときに被っていた「ネコ」〈※〉を私に思い出させました。メタファー(隠喩〈いんゆ〉法)としての「それ」は、彼女を落ち着かせるためにはとても大切なものなのです。その中でならば、外の世界に対しての立ち振る舞いや言動、本心までもが滑らかに出せるということを三歳の時から自然に分かっていたのでしょう。

 そう思って読み進めると、だんだんかぶっているものが気にならなくなり、素顔の妹がみえてくるのが分かります。今まで折に触れ考えてきたこと、楽しかったことやうれしかったこと。愛情をかけた動物や様々なものたち。どういうふうに暮らしてきたのか、どんな風に生きたいのか、活きたいのか、エッセイやフィクションの中でのその声は等身大の大きさで今までになく、近くに聞こえてきます。しかもなるべく明るく可愛く、「こんな私ですけど、みなさん。分かりますよね!? 」と、私を好きになってほしいという気持ちが伝わってきます。だから「杉浦日向子」らしくない本だと言う方もいると思いますが、私にとっては、賢く器用に楽しくやっているように見えていたのに、実は相当不器用にアッチャコッチャと懸命に生きていた「私の妹」を感じさせ、愛(いと)おしくなる一冊です。
 (2008年12月、写真家)
 
 《「ネコ」〈※〉:「・・・ 幼稚園に入るまでの妹は、とにかくよく泣く子で、何か気に入らないことがあると、どこにこんな量が入っているのかと思うほどの涙をふきだしながら泣くのです。だから両方のほっぺたはいつも真っ赤なりんごのようになっていました。これでは三年保育の幼稚園に入れたら、さぞかし大変だろうと思っていたところ、幼稚園の門をくぐった途端に、とても優秀な園児に変身を遂げて、また家族をビックリさせて、「内弁慶のネコかぶり」と、いわれていました。 ・・・」
のことを指すと思われます。》


杉浦日向子の 食・道・楽 新潮文庫







日向子さんとソバ


 日向子さんとソバ   


 杉浦日向子とソ連(ソバ好き連)編著の『もっと ソバ屋で憩う』は、1997年に上梓された『ソバ屋で憩う』の、三回目のお色直し本です。最初の定本では七十二軒収録、1999年に全面改定した文庫版では百一軒を、そしてあらためての新装版では百二十三軒のソバ屋が案内されています。


銀杏秋①
 (ギンナン)


 日向子さんが、「――新・文庫版あとがき――」に、「・・・これまでに、たくさんのご意見をちょうだいしました。なかでも多かったのは、[掲載店が少ない]と、[誉めてばっかりで評論になってない]でした。それもそのはずです。『ソバ屋で憩う』は、ソバ屋への恋文として書かれたものだからです。恋文を、当たるを幸いに片っ端から書き散らかすのは不節操、もとより惚れた上の文なれば誉めて当然。[あそこのソバ、食べたことある?]という、抜け駆けの訳知り顔とは無縁の、恋する純情ソバ屋本なのです。 ・・・ ・・・ 昔から、身近にあり町と人々のくらしを見守りつづけ、そして近年、ますます多彩に進化するソバ屋さんは、無限の可能性を秘めています。いつもおそばに憩いのテーブルを。どうぞ、ずっと通いたいソバ屋さんに、巡り逢ってください。」と、言葉を結んでいます。


②秋木漏れ日
 (落日の秋)


 日向子さんはお江戸で生まれ育ちました。『昼の酒』のコラムで、「東京のソバ屋のいいところは、昼下がり。女ひとりふらりと入って、席に着くや開口一番、「お酒冷やで一本」といっても、「ハーイ」と、しごく当たり前に、つきだしと徳利が気持ち良く目前にあらわれることだ。」と述べられています。


もう雪化粧 秋③
 (お山はもう雪化粧)

 
 ソバの友がお酒であり、お酒の友というのが、日向子さんのソバというのが全編にわたって伝わってきます。
 ソバ好きにもいろいろあると思います。下戸の私は私ということにしています。

 秋④
 (秋の信州:姨捨SAより)


 話変わって、俳句の話。

小林一茶は、信州黒姫山の麓で生まれましたが、先日の11月19日、「小林一茶188回忌 全国俳句大会」が、彼の生まれ故郷信濃町の一茶記念館で開催されました。
一茶は、蕎麦をうたいこんだ句がたくさんあります。彼は江戸時代の人ですが、同じ江戸時代の有名な俳人の松尾芭蕉や、与謝蕪村も蕎麦の句を詠んでいます。
 江戸の時代に、どんな句を残しているのでしょうか。「蕎麦」も「蕎麦の花」も秋の季語です。(※「赤蜻蛉」も秋の季語の代表ですね!)

  蕎麦は種を蒔いてから収穫するまでの期間が極めて早いことで知られています。
 ある人の「ソバの日記より」から、蕎麦の成長記録を追ってみることにします。:①8月16日種蒔き.②9月4日(播種より19日目花が咲き始める。).③9月9日五分咲き.④9月13日満開.⑤10月2日既に収穫できるものもちらほら.⑥10月26日収穫.干す.⑦11月8日干し終了。☆花が満開になってから1か月と2週間で実が収穫できるという、その速さには実に驚きました。


秋⑤
 (安曇野風景)


《・小林一茶(信濃国水内郡柏原村生れ〈長野県上水内郡信濃町〉.宝暦13年5月5日〈1763年6月15日〉―文政10年11月19日〈1828年1月5日〉).
・松尾芭蕉(伊賀国上野村生れ〈三重県伊賀市〉.寛永21年 ?月 ?日〈1644年?月?日〉―元禄7年10月12日〈1694年11月28日〉).
・与謝蕪村(摂津国生れ〈大阪府大阪市〉.享保元年 ?月 ?日〈1716年 ?月 ?日〉―天明3年12月25日(1784年1月17日〉)


⑦紅葉
 (紅葉)

 
≪小林一茶≫

 更しなの蕎麦の主や小夜砧     

  そば所と人はいふ也赤蜻蛉   
 
      そば時や月の信濃の善光寺  

赤椀に龍も出そうなそば湯かな     

そりや寝鐘そりやそば湯ぞよそば湯ぞよ    

山鼻やそばの白さもぞっとする   

しなの路やそばの白さもぞっとする    

そば咲やその白さゝへぞっとする    

蕎麦国のたんを切りつつ月見哉    

そば所のたんを切りつつ月見かな    

夕山やそば切色のはつ時雨    

国がらや田にも咲かせるそばの花   

江戸店や初そばがきに袴客

草のとや初そばがきをねだる客   

かげろうやそば屋が前の箸の山 

そば屋には箸の山あり雲の峰     


⑧苔
 (秋のしじま)


≪松尾芭蕉≫

三日月に地はおぼろなり蕎麦の花     

   蕎麦はまだ花でもてなす山路かな」     


秋⑪銀杏の木
 (秋の日)


≪与謝蕪村≫

残月やよしのの里のそばの花        

根に帰る花やよしののそば畠      

鬼すだく戸隠のふもとそばの花       

新蕎麦やむぐらの宿の根来椀     

しんそばや根来の椀に盛来(もりきたる)       


秋⑨佇まい
 (秋の佇まい)






プロフィール

むさしの想坊

Author:むさしの想坊
 これから何が飛び出してくるのでしょうか。ひきだしの奥にしまっていたものと合わせ、足跡を綴っていきたいと思います。
 昨日は金環日食をみることが出来ました。
・東京スカイツリー開業日の2012年5月22日記。

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