愛なき世界 三浦しをん 読売新聞連載小説 掲載曜日

2016/ 10/ 17
                 
 「思い込み」百のうちのそのひとつ。

 私が、しをんさんの「愛なき世界」、今日は日曜日だからお休みだ・・・と、呟いたところ、家人曰く、新聞の連載小説は毎日載っているよ。というやりとりをしたのが、10月16日の日曜日の朝です。このとき、念のためページの思い当たるところを改めてあちこち捲りましたが、やはり見つかりませんでした。

 きょうは、10月17日の月曜日です。8ページの投書欄「気流」と、「時代の証言者 電卓4兄弟 樫尾幸雄 22 -軽薄短小 生命線に-」の下一段に、「愛なき世界 6 三浦しおん」が載っています。

 あれっ、「6」となっている。土曜日は「4」だったから、おかしいなと思い、読売新聞日曜版を端(はじ)から端(はじ)まで丁寧に一枚ずつ確かめていきましたところ、ありました。見つけました。
 17ページ「くらし」の『「人生案内」~「夫が子どもに無関心 神奈川・T子」・回答者:山田昌弘〈大学教授〉~』の下一段に、「愛なき世界 5」が掲載されていました。
 日曜日の17ページと、金曜日と月曜日の8ページとでは、豪い違いです。

 いつもは、8ページ前後に載っているだろうという思い込みが、日曜日には掲載されていないという思い込みに転嫁してしまったようです。
 これを、いつものことさと、さらっと流すのか、それとも、年相応になってきたのかな、と、サビシク呟くのか、それとも何なのか・・・

 でも、「思い込み」に気付いたのですから、良しとすることに致しましょう。

 あなたの頭の中の世界には、どんな「思い込み」が宿っていますか。
 その思い込みは、あなたにとって良い方に転嫁していっていますか!

 


                 
        

三浦しをん 新連載小説 『愛なき世界』 讀賣新聞10月12日より掲載

2016/ 10/ 05
                 
 今のところ、三浦しをんさんの作品は、2012年本屋大賞受賞の『舟を編む』と、文庫本になった『小暮荘物語』の2冊を読んでいます。
 
 東京・本郷を舞台とする、読売新聞掲載の新連載小説、『愛なき世界』が10月12日朝刊から始まります。
 2006年『まほろ駅前多田便利軒』で、直木賞を受賞してから10年が経っています。
 新聞連載小説は初めてとなる三浦しをんさん。その矛先がどこに向かっていくのか、今から楽しみです。

 《 洋食屋「円服亭(えんぷくてい)に住み込みで働く青年、藤丸陽太(ふじまるようた)は、花屋の女性と熟年恋愛中の大将の頑固さをぼやきながらも、料理修行に励んでいる。客の中には、謎めいた会話をするグループが。近くの大学関係者らしいのだが・・・・・・。植物学を知らない藤丸は、読者と同じ視線のいわば道案内役。「しだいに研究室の内部の人の視点に移っていくつもりです」 
 挿絵を担当するのはマンガ家の青井秋さん。「私自身がファンで、担当してもらえてうれしいです。線が繊細で人物の絵のほか植物や建物の描写もすばらしい」と力説する。
 タイトルに込めた深意は今は秘密。非情さを連想させる題名とは裏腹に語り口はコミカルで、クスッと笑えて温かい。9月に40代に突入したばかり。「肩こりがひどい」とぼやきながらも面白い物語をと、鉢植えの観葉植物に見守られパソコンに向かう。「読者が身近な植物に興味を持ってもらえるようにもしたい。楽しめる話になるはずです」
   (文化部 佐藤憲一)  》
 ~~2016年(平成28年)10月4日(火曜日) 讀賣新聞 文化欄 ~~


 三浦しをんファンの方、必見です。勿論、この新聞小説をきっかけに読んでみようかなと思った方も。私も毎朝、読売新聞の小説掲載ページをまっ先に見ることに致します。

 
 ※三浦しをん:1976年(昭和51年)9月23日、東京都町田市出身。


 補筆:
  『舟を編む』の作品について、阿刀田高さんが、2013年(平成25年)4月26日(金曜日)   讀賣新聞(夕刊)の「4月は舟」欄で述べています。
 氏は、早稲田大学文学部出身ですので、三浦しをんさんの学部の先輩に当たります。(阿刀田氏の専攻はフランス文学、三浦氏は演劇専修。)

 マイブログより、阿刀田高のエッセイともいえるような「言葉の海へこぎ行く」文を、今一度、転載してみることに致します。

《「4月は舟」
 若い人たちのあいだで三浦しをんの小説〈舟を編む〉がよく読まれているらしい。旧聞ながら昨年の本屋大賞受賞作品である。初めてタイトルを見たとき、
 ――――いいねえ――――
 と思った。小説のタイトルを決めるのはむつかしい。私はデビューして間もないころ古手の編集者から、
 「読者の九十パーセントはだれが書いているか、作者で本を選ぶんですよ」
 「そうでしょうね」
 「でも。あなたが松本清張や司馬遼太郎を名のるわけにいかんのです」
 「はあ?」
 「残りの十パーセントはタイトル。魅力的なタイトルをつけなきゃいけない」
 たっぷりとしごかれた。
 あれから四十年、よいタイトルについて私見を述べれば①言葉として整っていること②内容を巧みに暗示していること③読者に"おやっ"と思わせるものを含んでいること、などなどが標準的な条件だろうか。言語表現としてギクシャクしているのはよくないし、内容をあまりにもあからさまに表しているもの、逆に内容と関係の薄いものもいただけない。ほんの少し平凡さを超えるものであってほしい。〈舟を編む〉は右の条件をほとんどすべて満たしている。しかし、
 ――――舟って"編む"ものかなあ――――
 漕いだり造ったりはするけれど……。日本語としてやっぱり正しいものであってほしい、と思ったが、さらに確かめると、これは国語辞典を編む仕事がテーマとなっている作品で、広大な言葉の海を舟で行くことを言っているらしい。ますます、
 ――――いいねえ――――
 と思った。読んでみればまさしく辞書編集のくさぐさ。若い読者が日本語に関心を持ってくれるなら、さらに、
 ――――いいねえ――――
 である。三浦さんは面識のない作家ではない。ご尊父は古事記の権威で、こちらからも私は多くの示唆を受けている。
 ――――しをんさん、いい仕事をなさいましたね――――
 心から拍手を送りながらも、ほんの少し、
 ――――しまった――――
 と悔やまないでもなかった。ありていに言えば、
 ――――このテーマ、私が書きたかったな――――
 こういう感想は時折いだく。実際に書けるかどうかの問題ではなく、わけもなくうらめしい。日本語には私も関心があるし、辞書を創る仕事にも興味がある。私も小説に書いてみたいと……これは、まあ、コロンブスの卵というもの。それにしても言葉の海を舟で行くイメージはすばらしい。
 話は変わるが、舟は人間が一番最初に作った乗り物だろう。陸路はとにかく足で行くことができるが、川や海を行くとなるとどうしても工夫が必要になる。その手段を象形文字で現したらしい。
 舟を歌った詩歌はたくさんあるけれど、私は中原中也の〈湖上〉が好きだ。
 ポッカリ月が出ましたら、
 舟を浮かべて出かけませう。……
 ロマンチックな夜の恋。月と湖が美しい。 (作家)

~~ いま風   金曜日 時字  随想  阿刀田高 ~~



 阿刀田氏が好きだとおっしゃった、中原中也の詩「湖上」全文を載せておきます。

 湖上 
(中原中也 「在りし日の歌」日本詩人全集22 新潮社 昭和42年7月10日発行より)

ポッカリ月が出ましたら、
舟を浮かべて出かけませう。
波はヒタヒタ打つでせう、
風も少しはあるでせう。

沖に出たらば暗いでせう、
櫂(かい)から滴垂(したた)る水の音は
昵懇(ちか)しいものに聞こえませう、
――――あなたの言葉の杜切(とぎ)れ間を。

月は聴き耳立てるでせう、
すこしは降りても来るでせう、
われら接唇(くちづけ)する時に
月は頭上にあるでせう。

あなたはなほも、語るでせう、
よしないことや拗言(すねごと)や、
漏らさず私は聴くでせう、
――――けれど漕(こ)ぐ手はやめないで。

ポッカリ月が出ましたら、
舟を浮かべて出掛けませう、
波はヒタヒタ打つでせう、
風も少しはあるでせう。



三浦しをんさんのデビュー作後の受賞作品を載せておきます。

世に出てからは、古本屋でのアルバイト後、インターネット上で読書エッセイの連載を始める。平成12(2000)年に、『格闘する者に○』〈※〉で作家デビュー。
 (〈※〉:〇は「まる」と読みます。)

受賞歴・候補歴
◇『私が語りはじめた彼は』
 ・候補: 第11回島清恋愛文学賞〈平成16(2004)年〉
 ・候補: 第18回山本周五郎賞〈平成16(2004)年度〉
 ・第9位: 第2回2005年本屋大賞〈平成17(2005)年〉
◇『むかしのはなし』
 ・候補: 第133回直木賞〈平成17(2005)年上期〉
◇『まほろ駅前多田便利軒』
 ・第135回直木賞〈平成18(2006)年上期〉
◇『風が強く吹いている』
 ・第3位: 第4回2007年本屋大賞〈平成19(2007)年〉
◇『神去なあなあ日常』
 ・第4位: 第7回2010年本屋大賞〈平成22(2010)年〉
◇『天国旅行』
 ・候補: 第27回織田作之助賞〈平成22(2010)年〉
◇『木暮荘物語』
 ・候補: 第28回織田作之助賞〈平成23(2011)年〉
◇『舟を編む』
 ・埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2011[第1位]〈平成23(2011)年度)
 ・第9回2012年本屋大賞〈平成24(2012)年〉
◇『仏果を得ず』
 ・第2回Osaka Book One Project〈平成26(2014)年〉
◇『あの家に暮らす四人の女』
 ・第32回織田作之助賞〈平成27(2015)年〉





A World Without Love
- 愛なき世界-(ポール・マッカートニー作曲)
 ~ピーターとゴードンの最初のヒット曲 (1964年)~

Please lock me away
And don't allow the day
Here inside, where I hide with my loneliness
I don't care what they say, I won't stay
In a world without love

Birds sing out of tune
And rain clouds hide the moon
I'm OK, here I'll stay with my loneliness
I don't care what they say, I won't stay
In a world without love

So I wait, and in a while
I will see my true love smile
She may come, I know not when
When she does, I'll lose
So baby until then
Lock me away
And don't allow the day
Here inside, where I hide with my loneliness
I don't care what they say, I won't stay
In a world without love

So I wait, and in a while
I will see my true love smile
She may come, I know not when
When she does, I'll lose
So baby until then
Lock me away
And don't allow the day
Here inside, where I hide with my loneliness
I don't care what they say, I won't stay
In a world without love

I don't care what they say, I won't stay
In a world without love


                 
        

小泉今日子さん 『小暮荘物語』三浦しをん (「読売新聞」2011年2月6日書評)

2015/ 01/ 20
                 
小泉今日子さん 『小暮荘物語』三浦しをん (「読売新聞」2011年2月6日書評)


 木版画家、百瀬晴海さんの『版画で綴る 我が街 小田急線七十駅』シリーズの第25回 は、『世田谷代田駅』(鉄道ジャーナル2月号掲載)です。彼女は「沿線を取材するとさまざまな記憶が蘇ります。…」と取材ノートに書いていますが、三浦しをんの小説『小暮荘物語』は、この小田急線代田駅から徒歩5分にある古びた二階建て木造アパートに住む人たちと、そこにかかわる人々をめぐる連作短編集となっています。

 筆者は『柱の実り』の冒頭2行目から「・・・小田急線の世田谷代田駅は、いつもどこかのどかなムードだ。朝のラッシュの時間帯にも、ホームはそれほど混みあわない。各駅停車に乗ったまま新宿まで行っても、十五分弱だ。住んでいる場所によっては、井の頭線の新代田駅まで歩くひともいるし、気分を変えるために少し早起きして、下北沢まで歩くこともできる。利便性の高さと選択度の多様性さが、駅を利用する住民の態度に余裕をもたらしている。・・・」と書き進め、「・・・世田谷代田は古くからの住宅街なので、郊外の新興住宅地に比べても緑も多い。休日は近所を散歩するようになって、ここのところすこぶる健康的だ。歩くうちに、気になる建物も見つけた。おいしそうなお惣菜(そうざい)屋さんや、おしゃれなカフェではない。いまにも崩れそうな木造二階建てのアパートだ。
 「小暮荘(こぐれそう)」と、錆(さ)びた外階段にプレートがくくりつけてある。・・・」と、小暮荘の物語に導いてゆきます。


 前置きが長くなりましたが、小泉今日子さんが、讀賣新聞(2011年2月6日)の書評欄に、この『小暮荘物語』を載せていますので、お目通し願えればと思います。
 「遠い記憶が蘇(よみがえ)ってきた。父親の経営する会社が倒産し、町中にひっそりと佇(たたず)むおんぼろアパートに少しの間身を潜(ひそ)めたことがある。私が中学2年生の時だった。小さい会社だったけど一応社長令嬢だったし、小さい家だったけど一応持ち家育ちの私にとって、人生がぐるんと裏返るような感覚がする体験だった。大人達には深刻な事態だったと思うが、子供だった私の胸は不謹慎にもワクワクしていた。なぜだか、ここから何かが始まるんだという予感が小さな胸を膨(ふく)らませていた。
 
 世田谷代田駅から徒歩5分、おんぼろな外観の小暮荘には4人の住人がいる。1階に住む大家の小暮さんは70歳過ぎの男性だけれど、死ぬ前にもう一度セックスがしたいと願いながら愛犬ジョンと暮らしている。その隣のいかにも今時の女子大生、光子の部屋には複数の男友達が出入りする。光子の生活を2階からこっそりと覗いているのは感じの悪いサラリーマンの神崎。今の彼と前の彼と3人で共同生活する羽目に陥(おちい)っている花屋店員の繭も2階の住人だ。この4人を中心に物語はくっつぃたり離れたりしながら進んでゆく。繭の働く花屋のオーナー佐伯夫婦。白い薔薇(ばら)を買いにくる謎の客ニジコ。小暮荘の前を通る度、庭を駆け回るジョンにシャンプーを施(ほどこ)したいと思っているトリーマーの 美禰。美禰と心を通わすヤクザの前田。一人一人抱きしめてあげたくなるほど愛おしい登場人物達が、恋愛や性や癖の問題を抱えながら、真摯(しんし)に誠実に他人との関わりを求めている。
 あぁ、私はこの物語がとっても好きだ。ずっとずっと小暮荘を見守っていたかった。読み終わった時、これから何を楽しみに生きて行ったらいいの? と、喪失感すら抱いてしまった。こんな気持ちを抱くのは、私もおんぼろアパート経験者だからだろうか。それとも、何かが始まったり終わったりしながら続いてゆく人生を、45年分それなりに経験したからなのだろうか。
                 (女優)  」

小暮荘物語 三浦しをん
 『小暮荘物語(こぐれそうものがたり)』 
 平成26年10月20日 初版第1刷発行
 著者 三浦(みうら)しをん
 発行所 祥伝社(しょうでんしゃ)

                 
        

阿刀田高

2013/ 04/ 27
                 
言葉の海へ こぎ行く

 4月は

 若い人たちのあいだで三浦しをんの小説〈舟を編む〉がよく読まれているらしい。旧聞ながら昨年の本屋大賞受賞作品である。初めてタイトルを見たとき、
 ――――いいねえ――――
 と思った。小説のタイトルを決めるのはむつかしい。私はデビューして間もないころ古手の編集者から、
 「読者の九十パーセントはだれが書いているか、作者で本を選ぶんですよ」
 「そうでしょうね」
 「でも。あなたが松本清張や司馬遼太郎を名のるわけにいかんのです」
 「はあ?」
 「残りの十パーセントはタイトル。魅力的なタイトルをつけなきゃいけない」
 たっぷりとしごかれた。
 あれから四十年、よいタイトルについて私見を述べれば①言葉として整っていること②内容を巧みに暗示していること③読者に"おやっ"と思わせるものを含んでいること、などなどが標準的な条件だろうか。言語表現としてギクシャクしているのはよくないし、内容をあまりにもあからさまに表しているもの、逆に内容と関係の薄いものもいただけない。ほんの少し平凡さを超えるものであってほしい。〈舟を編む〉は右の条件をほとんどすべて満たしている。しかし、
 ――――舟って"編む"ものかなあ――――
 漕いだり造ったりはするけれど……。日本語としてやっぱり正しいものであってほしい、と思ったが、さらに確かめると、これは国語辞典を編む仕事がテーマとなっている作品で、広大な言葉の海を舟で行くことを言っているらしい。ますます、
 ――――いいねえ――――
 と思った。読んでみればまさしく辞書編集のくさぐさ。若い読者が日本語に関心を持ってくれるなら、さらに、
 ――――いいねえ――――
 である。三浦さんは面識のない作家ではない。ご尊父(※)は古事記の権威で、こちらからも私は多くの示唆を受けている。
 ――――しをんさん、いい仕事をなさいましたね――――
 心から拍手を送りながらも、ほんの少し、
 ――――しまった――――
 と悔やまないでもなかった。ありていに言えば、
 ――――このテーマ、私が書きたかったな――――
 こういう感想は時折いだく。実際に書けるかどうかの問題ではなく、わけもなくうらめしい。日本語には私も関心があるし、辞書を創る仕事にも興味がある。私も小説に書いてみたいと……これは、まあ、コロンブスの卵というもの。それにしても言葉の海を舟で行くイメージはすばらしい。
 話は変わるが、舟は人間が一番最初に作った乗り物だろう。陸路はとにかく足で行くことができるが、川や海を行くとなるとどうしても工夫が必要になる。その手段を象形文字で現したらしい。
 舟を歌った詩歌はたくさんあるけれど、私は中原中也の〈湖上〉が好きだ。
 ポッカリ月が出ましたら、
 舟を浮かべて出かけませう。……
 ロマンチックな夜の恋。月と湖が美しい。 (作家)

いま風   金曜日
時字  随想

阿刀田高
 あとうだ・たかし 1935年、東京生まれ。早稲田大学仏文科卒。78年に『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。79年に短編集『ナポレオン狂』で直木賞、95年に『新トロイア物語』で吉川英治文学賞を受けた。2012年4月から山梨県立図書館長を務める。近著に『源氏物語を知っていますか』。

2013年(平成25年)4月26日(金曜日)  夕刊  讀 賣 新 聞


(※)三浦佑之(みうらすけゆき) 1946年、三重県生まれ。 上代文学、伝承文学研究者

三浦しをん(みうら・しをん)
1976年、東京都生まれ。2000年『格闘する者に〇(まる)』でデビュー。
2006年『まほろ駅前多田便利帳』で直木賞受賞。
小説に『風が強く吹いている』『成果を得ず』『神去なあなあ日常』
『小暮荘物語』など、エッセイに『悶絶スパイラル』『あやつられ文楽鑑賞』
『ふむふむ おしえて、お仕事!」など著作多数。
❀三浦しをんの上記略歴は『舟を編む』より転載。
❀三浦しをんは阿刀田高と同じ早稲田大学卒(第一文学部演劇専修)。

中原中也(なかはらちゅうや) 1907年4月29日、山口県山口市に生まれる。詩人。
詩集『山羊の歌』
詩集『在りし日の歌』(1937年9月29日、自ら選んだ詩篇の原稿を小林秀雄に託したが、同年10月23日死去。その翌年4月、創元社から出版された。)


湖上 
中原中也 「在りし日の歌」日本詩人全集22 新潮社 昭和42年7月10日発行より

ポッカリ月が出ましたら、
舟を浮かべて出かけませう。
波はヒタヒタ打つでせう、
風も少しはあるでせう。

沖に出たらば暗いでせう、
櫂(かい)から滴垂(したた)る水の音は
昵懇(ちか)しいものに聞こえませう、
――――あなたの言葉の杜切(とぎ)れ間を。

月は聴き耳立てるでせう、
すこしは降りても来るでせう、
われら接唇(くちづけ)する時に
月は頭上にあるでせう。

あなたはなほも、語るでせう、
よしないことや拗言(すねごと)や、
漏らさず私は聴くでせう、
――――けれど漕(こ)ぐ手はやめないで。

ポッカリ月が出ましたら、
舟を浮かべて出掛けませう、
波はヒタヒタ打つでせう、
風も少しはあるでせう。


                 
        

さきたま緑道 彫刻プロムナード 12

2013/ 04/ 24
                 
舟を編む 三浦しをん

 小説の帯カバー  
 言葉の海へと舟を漕ぎ出す人びと続出! 
 2012年本屋大賞第1位!
 キノベス!2012第1位!
 2012年日販年間ベストセラー単行本フィクション部門第1位!
 2012年オリコン年間ランキング小説部門第1位!
 大学生協2012年一般書・年間ベスト1!

 裏面に箇条書きで書かれていました。

 帯カバー表面に、 70万部!  
 4月13日 全国ロードショー 出演・松田龍平 宮崎あおい
 などとも書かれていました。

 謝辞
 本書執筆に際し、お力を拝借したかたのお名前をここに記し、深く感謝する。
 作中で事実と異なる部分があるのは、意図したものも意図せざるものも、作者の責任による。

 と、書かれていました。
 この傍線の文章(私がアンダーラインを引きました)が、妙にひっかかっています。
 今夜から読み始めようと思っています。


大地の精  -34-

 万物を育てる大地の生命力、古代人の歓喜の姿などを想像して現しました。
 大地からの力強い息吹を感じて欲しいと願っています。
  松永勉 (徳島県)
大地の精① 松永勉