やすらぎの郷 第68話 第69話

2017/ 07/ 06
                 
 8:00から始まるNHK連続テレビ小説『ひよっこ』は、BSプレミアムで7:45から見ることができます。

 昨日の東京に続いて今日も外出します。
 テレビ朝日の連続テレビドラマ『やすらぎの郷』は、12:30からの放送となりますが、BS朝日でも7:40から放送されていることが先日判りました。

 先ほどビデオセットして見始めたところ、家人が昨日の「第68話」の放送分だと教えてくれました。
 BSの『ひよっこ』は前以て見ることができるのに対し、BSの『やすらぎの郷』は前日の再放送を見ることができるということが判りました。

 ということを知ったうえで、きょう12:30からの放送「第69話」をビデオセットしました。


 「第68話」に、若い男二人が、マヤに渡されたステレオセットを運び出している画像が目に飛び込んできました。
 そのうちの一人が橋爪遼にそっくりに思えました。アレッ、と思い、『やすらぎの郷 中 (第46話~第90話)』のページをめくったところ、そこには、施設担当、田辺三郎(湯川尚樹)、正岡治(池田詢亮)と記されてありました。


 第77話には、 竜村剛(橋爪遼)と書かれています。
 ◆駅
     走りこむ一馬と竜村。
     改札口をとびこえてホームへ。



                 
        

光  猫の鉛筆画・・くろひげ屋

2017/ 06/ 30
                 
  《「光」は、「しろ」が愛犬「もも」の犬小屋で産んだ子です。
  とても愛らしい子でした。
  5匹生まれて全てを優しい飼い主様に・・・
  『猫の鉛筆画・・くろひげ屋』(2017/06/04 19:54)》


 2017年6月24日(土)、 光(ひかり)ちゃんと海(かい)ちゃん、一緒に我が家に招かれました。

光ちゃん くろひげ屋にゃんず絵 -1



光ちゃん くろひげ屋にゃんず 説明文 -2-





 山形の佐藤錦の摘み取り時期は、昨年に比べておしなべて6日ほど遅かったそうです。
 6月24日、お世話になったお家に今年もさくらんぼをお届けすることができました。
 


                 
        

留守電

2017/ 06/ 22
                 
 昨夜遅く家に戻りました。
 留守電が入っていました。
 書店からの、本2冊が入荷したとの連絡でした。


 先日、二つの書店に行き十数冊の本をまとめ買いしました。
 すぐ読んでみたいと思った本2冊がどちらのお店にも置いていなかったので、A書店に注文しておいたものです。
 今日か明日に、受け取りに行こうと思っています。






『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』 ドリームのないアメリカ
 作者:J.D.ヴァンス 翻訳:関根 光宏
  出版社:光文社
 発売日:2017-03-15

◇書籍のご案内:紀伊國屋書店

2016年6月に出版された原書はアメリカでベストセラーとなり、世界中で高い評価を受けた。英エコノミストは「2016年に出版された本の中で、アメリカを知るために最も重要な一冊」と評している。1984年生まれの若き白人のアメリカ人である著者J.D.ヴァンス自身が述べるように、彼はイェール大学ロースクールを卒業し経済的成功を収めてはいるものの、「人生で何か偉業成し遂げたわけではない」。そんなヴァンスの人生を綴った本書が大きな話題を呼んだのは、彼の故郷に暮らすアメリカの白人たちの姿がトランプ支持者のそれとピタリと重なったから。トランプ現象を支える人々の実像を追い求めて、多くの人がこの本を手に取ったのだ。アメリカの繁栄から取り残された白人たちの現実は、多くのアメリカ人たちにとっても、これまで知ることのなかった驚くべきものだった。

ケンタッキー州北東部出身であるヴァンスの家族の祖先は、アイルランド島北東部から18世紀にアメリカに移住してきたスコッツ=アイリッシュ。彼の家族は自らのことを、田舎者を意味する「ヒルビリー」と呼ぶ。住む家を転々と変えざるをえなかったヴァンスの故郷の1つであるケンタッキー州ジャクソンでは住民の3分の1が貧困状態にあり、離婚や薬物依存症も珍しくない。アメリカで苦境にある人々と言えば黒人やラテン系移民を思い浮かべるが、社会調査によるとアメリカで最も厭世的な社会集団は白人労働者なのだという。極度の貧困に苦しむラテン系移民や今なお残る差別に苦しむ黒人よりも、白人労働者階層は明日への希望を失っている。彼らにとって、つらい現実を乗り越えるための活力となるはずのアメリカン・ドリームは、文字通り夢物語なのだ。

学術書ではない本書が取り扱うのは、製造業海外移転のメカニズムや人種の違いが格差に与える影響の分析ではない。著者は、社会階層や家族が貧困のただ中にいる人々にどのような影響を与えているかを、地を這う人々の目線で、これでもかというほどリアルに教えてくれる。

本書で語られるディテールは人の心を動かす力を持っている。この本を読んだ誰もが、自分が置かれていた境遇、周りにいた家族や友人、そして自分がこれまでに下してきた決断について顧みずにはいられなくなるはずだ。トランプ旋風がなければ、この本はベストセラーにはならなかったかもしれない。しかし、逆境の中でも人生を投げ出さなかったヴァンスの姿勢、ヴァンス自身がCrazy Familyと呼ぶ家族の特異さと愛おしさ、白人労働者を取り巻く絶望のどれもが真に迫る強度を持っていたからこそ、この本は大きな反響を呼んだのだ。

「一方の親は、私が生まれてからずっと薬物依存症と闘っている。私を育ててくれた祖父母はどちらも高校も卒業しておらず、カレッジを卒業した親類もほとんどいない」というヴァンスの家族を含むヒルビリーたちは、独特な価値観に基づいて生きている。ヴァンスの祖母は12歳のときに、家族の大事な資産である牛を盗もうとしていた泥棒をライフルで半殺しにしたと噂されていた。親類の中で最も感じの良かったおじさんでさえ、母親を侮辱する言葉を吐いた自社の社員を殴り倒して気絶させ、電動のこぎりで腹を切り裂いたことがある。ヒルビリーの人々にとって、家族を守ることはいつも善きことであり、ナイフや銃の使用ですら正義の執行に必要な手段に過ぎない。

ヒルビリーの文化は矛盾に満ちている。家族を大事にすると言いながら、子供を見捨て、家族を裏切る者が多くいる。ヴァンスは12歳のとき実の母に殺されかけ、母を被告とした裁判を行っている。ヒルビリーは誰もが一生懸命に働くことの大切さを説くにも関わらず、30%の若者が週に20時間以下しか働いていない地区もある。しかも、その若者たちは誰一人として自分のことを怠け者とは思っていない。著者も、せっかく手に入れた仕事を無断欠勤などで失う人々を多く目撃している。この独特な文化がどれほど根深く人々を蝕んでいるか、ヴァンスの過酷すぎる実体験で追体験することができる。

悲惨な学生生活を送ったヴァンスであるが、自身を含めた貧しい子どもが学校で苦労する原因として、公的機関ばかりがやり玉にあげられる現状には違和感を覚えるという。学校などの公的機関はもちろん重要であるが、貧しい子どもたちが最も大きな困難を経験し、その行く末を阻んでいたのは崩壊してしまった家庭生活だった。怠惰、暴力、ドラッグで家族という最後のセーフティネットが破壊され、歪んだ価値観に生きるヒルビリーの抱える問題は、解決することはもちろん、正確に理解することすら困難である。


どんな本も、どんな専門家も、どんな専門分野も、それだけでは現代アメリカのヒルビリーが抱える問題を、完全には説明できない(中略)私たちの哀歌は、社会学的なものである。それはまちがいない。ただし同時に、心理学やコミュニティや文化や信仰の問題でもあるのだ。


祖母との二人暮らしで平穏を手に入れ、高校卒業後に海兵隊で多くを学んだヴァンスは、後にイェール大学ロースクールに進むという成功を掴む。大学に行くことすら珍しいヒルビリーでは、望外の成果だ。社会階層の最底辺から頂上へ移動した彼だからこそ、見えるものがある。仕事の面接ではスーツを着なければならないことや金融というものが実際に人が働く産業であることすら知らなかったヴァンスと同様に、社会の上澄みだけで生きてきた人は貧困のリアリティを知らない。どれだけ精緻に理論を積み上げても、想像力を働かせようとも、彼らの声に耳を傾けない限りは真の姿は見えてこない。

大学時代のヴァンスがオハイオ州議員のもとで働いていたとき、給料を担保に高利で金を貸すペイデイローンを廃止する法案が審議されていた。多くの議員にとってペイデイローンは弱者からなけなしのお金をはぎ取る人食いザメのような存在に映ったのだろう。ところが、クレジットカードすら作ることのできないヴァンスを含む貧困層は、ペイデイローンの存在なしには今、この瞬間を生き抜くことができない経験を幾度もしているという。


権力者は、自分が助けようとしている人たち(たとえば私)の現状を知らないままに、ことを進めるのだ。


ヴァンスの故郷の人々は、自分の選択が人生になんの影響も与えないと思いこみ、「自分ではどうしようもない」という感覚が拭いがたくつきまとっているという。簡単に仕事を投げ出し、自分たちの境遇の責任を移民や黒人に押し付け、全てを諦めている彼らの状況を変える方法などあるだろうか、その価値観を揺さぶることのできる言葉など存在するだろうか。それでも、この問題を解決するためには、自分たちで向き合うしかないのだ。ヴァンスはこう語りかける。


こうした問題は、政府によってつくり出されたものでもなければ、企業や誰かによってつくり出されたものでもない。私たち自身がつくり出したのだ。それを解決できるのは、自分たち以外にはいない。(中略)事態を改善するために自分たちに何ができるのか、自問自答することからすべてが始まる。


繁栄から取り残された人々の存在は、遠いアメリカだけの話だけではない。製造業の海外移転や少子高齢化によって、日本でも地方の衰退は加速している。子どもの貧困も課題となっている。地方から東京へ出てきた人なら誰でも、衰退する地方にまとわりつく重い空気、そこから抜け出したことにたいする複雑な思い、都市で暮らす人々と接して初めて感じる大きなギャップを、ヴァンスほどではなくとも経験しているはずだ。 ヒルビリーが日本の未来の姿とならないようにするために、自分たちに何ができるだろうか。







『名誉と恍惚』

著者:松浦寿輝 
出版社:新潮社
発売日:2017/03/03

日中戦争のさなか、上海の工部局に勤める日本人警官・芹沢は、陸軍参謀本部の嘉山と青幇(チンパン)の頭目・蕭炎彬(ショー・イーピン)との面会を仲介したことから、警察を追われることとなり、苦難に満ちた潜伏生活を余儀なくされる……。祖国に捨てられ、自らの名前を捨てた男に生き延びる術は残されているのか。千三百枚にも及ぶ著者渾身の傑作長編。

                 
        

蜜蜂と遠雷(第156回直木賞受賞作) 著者恩田陸 発行所幻冬舎

2017/ 03/ 21
                 
  第156回直木賞受賞作となった恩田陸氏の小説『蜜蜂と遠雷』は、株式会社幻冬舎から2016年9月20日付で、第1刷が発行されています。
私の手元にあるのは、2017年1月25日発行の第10刷版です。
いま、他に3冊読み進めている書籍があるということもあり、この本はまだ目を通していません。508(507)ページに及ぶページ数が、最近購入した本の中で一番多かったということも、その要因の一つかも知れません。来週中には2冊読み終わりますので、そのあと一気呵成に読みたいと思っています。
 
 そうはいっても、私は恩田陸という作家のお名前は今まで見聞きしていましたけれど、まだ一度も氏の作品を読んだことがありません。

 ということもあり、先ずは作家恩田陸とはどういう人物なのか、『蜜蜂と遠雷』はどういった小説なのか、はてまた、読者はこの本にどういった感想を持ったのか、幻冬舎の公式サイトをのぞいて事前知識を得ておくことにしました。

蜜蜂と遠雷 恩田陸 幻冬舎


《「特設ページ」:直木賞に決定!恩田陸『蜜蜂と遠雷』

 ~構想から12年、取材11年、執筆7年。ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。~


 ◇あらすじ
私は、まだ音楽の神様に愛されているだろうか。

3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。
「芳ヶ江を制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」ジンクスがあり近年、覇者である新たな才能の出現は音楽界の事件となっていた——。

自宅にピアノを持たない少年・風間塵16歳。
天才少女としてCDデビューもしながらも、母の突然の死去以ピアノが弾けなくなった栄伝亜夜20歳。
音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマン 高島明石28歳。

完璧な優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ=アナトール19歳。

彼ら4人をはじめとする数多の天才たちが繰り広げる競争という名の自らとの闘い。
第1次から3次予選そして本選を勝ち抜き優勝するのは誰なのか?



 ◇著者紹介:恩田陸
 1964年、宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞および第2回本屋大賞を受賞。06年『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞を受賞。07年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞を受賞。著書多数



 ◇担当編集者より
「構想12年、取材11年、執筆7年」とは『蜜蜂と遠雷』のプレスリリースや新聞広告で使ったフレーズで、恩田陸さんの担当歴20年以上になる私にとっても半分以上の年月この作品に携わり、3分の1の年月、月刊連載原稿の催促を続けていたことになります。

長く一つの作品にかかわるといろいろなことがあるわけで、その最大が3年に1回、開催される浜松国際ピアノコンクールへの4度もの取材です。ふつうは4度も取材しません。取材といってもバックステージを観察するようなことはほとんどなく毎日、会場の座席に身を沈め朝9時から夕方まで審査員でもないのにひたすらピアノ演奏を聴き続けるだけです。2回目以降、毎度「先生また行きたいんですか!?」と呆れたふりをしながらも、じつは無類のクラシック音楽好きの私は、しめしめとひじょうに楽しみにしていました。まさに役得です。

この作品で私がやったことは原稿の催促以外なにもありませんが、4度の取材には音楽好きの私でなかったら、つきあえなかったかもしれません。それが作品のコクのようなものになっているといいのですが……。



 ◇全世代から感動が寄せられている1冊!です。

  ・音楽を聴いた時に浮かぶ情景や感情を、どうしたらこんなに言葉にできるんだろう……。
加えてコンペティションのスリル。圧倒的でした。(40代女性)

  ・読んでいる間、ずっとわくわくしていました。上手く言葉がまとまりませんが、この作品を読めて幸せでした。(20代女性)


  ・読みはじめてすぐに「これこれ! こんなのが読みたかった!」と喜びに震えました。この本は、音楽やピアノのことを知らなくても本当に楽しめる作品だと思います。(40代女性)


  ・登場人物は十代から二十代の若者なのに、その生き方は、五十代の私の何倍にも凝縮された濃密なものでした。
 まだまだ進化していく中で、挫折や不安も感じていくのだろうと、それぞれの未来を感じさせる読後感でした。(50代女性)


  ・久し振りに「小説」を読んだ! という気持ちになりました。「読んだ」というより、「どっぷり浸かった!」といったほうが正解かもしれません。「面白い」というより、「ぐんぐん引っ張られた!」というのが実感です。(80代女性)


  ・本屋で見かけたときは、分厚い上に1ページの文字数は多いので読むのが大変そうだと思っていたのですが、序章からすぐ物語に引き込まれ、寝る間を惜しんで読みふけってしまいました。
途中からは、どうして残りページがこれしかないのかともどかしく思ったほどです。(30代男性)


  ・努力する天才ばかりが出てきて、自分ももっと頑張ろう、好きなことは勇気を出してやろうと思いました。クラシックが大好きになるお話です。(10代女性)


  ・美しい音楽が頭の中で流れる、素晴らしい小説をありがとう。ずっと大切にしたい、宝石のような小説でした。留学中の孫の姿に重ね、涙がこぼれました。若い人にたくさん読んでほしいです。(70代女性)


  ・最後に誰が栄冠を勝ち取るのか、だけが大切なのではないと気付かされます。 自分の才能を信じて打ち込む姿は、誰かを応援することができる。一生、心に残る小説だと思いました。(60代男性)









                 
        

中野信子氏によるサイコパス 私の知ったこと

2017/ 03/ 06
                 
 『サイコパス』「第3章 サイコパスはいかにして発見されたか・精神分析の失墜と脳科学の台頭」の文中、ジークムント・フロイト(1856年5月6日–1939年9月23日)の精神分析学の業績を、いとも簡単に《注意深く読めば科学的証明に乏しい、反証可能性があるとは言いにくい理論であることがわかります。》(123㌻)と、中野信子氏は、脳科学者の立場からひと言で片付けています。
 そのこと(サイコパス)は、精神分析学の範疇ではないということも端的に言い表したいということにもつながるのでしょうか。
 そして、氏は、私は脳科学者ですから、やはり遺伝的要因のほうを重視していますという前置きのもと、《・・・だとすれば、サイコパスになる原因としては、後天的要因よりも遺伝的要因の影響のほうが大きいはずです。》と、145㌻で述べています。

サイコパス 中野信子著


 サイコパスは、アメリカの全人口の4パーセント(〈※〉)(心理学者マーサ・スタウト氏による)にものぼるといいます。

〈※〉『診断名サイコパス」で有名なカナダの犯罪心理学者ロバート・ヘアによれば、男性では全人口の0.75%がサイコパスだとされています。
 中野氏はそれらの文献を引用し、
 《いずれにしろ、おおよそ100人に1人くらいの割合でサイコパスがいると言えます。日本の人口(約1億2700万人)のうち、約120万人はいる計算になります。
 サイコパスは私たちの周囲に紛れ込んでおり、今日もあなたや、あなたの同僚や友人、家族を巻き込んでいるのです。
 あるいは、この本を今読んでいるあなた自身が、サイコパスかもしれません。》
と、序文の「はじめに」で記しています。

 中野信子氏は、かって「MENSA」(人口上位2%の知能指数を有する者が入れる団体)のメンバーでした。
 《・・・そこにはさまざまな現象について法則を見出すことが好きな人たちが集まっていて、パズルやゲームの攻略法を探し出したり、社会を見渡し、あるいは実験を通じて「こうなのではないか」「実はこういうことが言えるのではないか」という法則を考えたり、「みんなが常識だと思っている道徳や『決まり』は、実は最近になって作られた、誰かにとって都合のいいパラダイムだ」ということを見つける》・・・ことを、ゲームのように楽しんでいたそうです。

 ゲームも社会生活も約束事に守られてこそのはずですが・・・

 《・・・隠されたゲームのルールや社会の秩序を見つけたとき、それを悪用しようとする人もいます。抜け穴を使って他者を出し抜いたり、ひとりだけ規則に従わずに済ませたり、面従腹背していいとこ取りをするような行為です。これを指して、ネットスラング由来の言葉で「ルールハック」と呼ぶことがあります。
 普通の人はそういう反道徳的な行為をしません。しかしサイコパスはルールハックを気にせずにやってのける。
 これはとても不思議なことです。彼らにはなぜブレーキがかからないのか?
 また、100人に約1人の割合で存在しているということは、人類進化の過程で、サイコパスは今日まで淘汰されることなく生き残ってこられたということでもあります。
サイコパスの生き方(生存戦略)は、普通の人からすればとんでもないものに見えますが、生存戦略としては意外と有効なのかもしれません。》


◇「勝ち組サイコパス」と「負け組サイコパス」
  「第2章 サイコパスの脳」の、「2」「勝ち組サイコパス」と「負け組サイコパス」に、15ページにわたって論じられている内容が、ある意味、この本のメインイベントとしてアナウンスされる舞台かも知れませんが、あえて割愛とさせていただきました。

 私が知りたかったのは、サイコパスと言われる人たちが、通常の人たちと価値観を共有して同じ約束事のもとに生活できるのかどうかでした。そのことを、中野信子氏の著書から読み解きたいと思いました。
 ということで、「サイコパスの脳」の箇所を転書して、「サイコパスを知る」こととしました。


《◇87㌻~91㌻
 人間の脳の認知機能をつかさどる部分には、大きく分けて「大脳辺縁系を中心とした情動を司る部位の機能」と、「前頭前皮質を中心とした思考を司る部位の機能」の2つがあります。
 まずは、能科学の観点から、「サイコパス」の脳の働きを探ってみましょう。

①恐怖を感じにくい脳――扁桃体の活動が低い
 扁桃体を手術で取り除いてしまうと、うなり声や悲鳴、怒りの声
のような否定的なサインが理解できなくなることが知られています。食べられないものでも手当たり次第に口に運んだり、あらゆるものに対して発情し交尾をしかけたり、以前は恐れていた動物やヘビなどに平気で近づくようになります(クリューバー・ビューシー症候群と呼ばれています)。 
 つまり「サイコパスは扁桃体の活動が低い」ということは、恐怖や不安など、動物が本来持っている基本的な情動の動きが弱い、ということです。
 扁桃体の働きの一つとして、外界からのさまざまな感覚情報(刺激)が伝わる速度は、社会性や理性を司る前頭葉への伝達速度に比べ、扁桃体へは2倍の速さで到達します。考えるより先に、いわば本能的に反応する部分、と思ってもらっていいでしょう。

②「VMPFC」の異常――痛々しい画像を見ても反応しない:
 前頭前皮質については、VMPFC(内側前頭前皮質)ないしはVPFC(前頭前皮質腹内側部)が、一般人とサイコパスでは大きく異なってることも知られています。
 VMPFCが正常に機能していない人は、肉体的な変化が起こらないことです。脳の反応がないから、汗もかきませんし、皮膚の導電率の変化も起こりません。
 ゆえに、道徳的な文脈で「こういうことはしてはいけない」といくら言っても、サイコパスの心には響かない。将来的に自分が社会から大きな罰を受けることを、痛みをともなって想像することができない。
 だから「痛みを回避する」という学習様式を取ることもできないわけです。

③海馬と後帯状回の機能障害――情動記憶についての欠陥
 扁桃体や前頭前皮質以外にも、サイコパスの脳の特徴は報告されています。
 たとえばサイコパスの脳の学習能力に関しては、複数の調査が「海馬」の機能低下とサイコパスである傾向の高さの関連を指摘しています。
 海馬とは、情動を司る大脳辺縁系の一部です(扁桃体と近い場所にあります)。海馬は学習や記憶、空間の把握に重要な役割を果たしており、恐怖条件付けにも関わります。何をすべきか、何をすべきでないかを学ぶうえで重要な場所が、海馬だといえます。
 サイコパスは情動障害を持ち、怖れを感じない存在であることを今まで見てきましたから、「サイコパスは海馬に機能低下がみられる」という点について、違和感はないのではないかと思います。
 海馬機能が低下すると、状況判断の誤認をもたらし、攻撃的な行動のコントロールを失わせます。》


《◇70㌻. 80㌻
 能科学の観点から、「サイコパス」の脳の働きを探る。
①「熱い共感」を持たない脳:「サイコパス」は道徳によって判断することはありません。「合理的なのだから、それが正しい」と考えます。》


《◇82㌻
 「サイコパス」は、次に示すいずれかの理由、あるいはそれが複合することで、恐怖や罰から社会的な文脈を学習して痛みや罪、恥の意識を覚えることができません。
①扁桃体の活動が低い
②眼窩前頭皮質や内側前頭皮質の活動が低い
③扁桃体と眼窩前頭皮質や内側前頭皮質の結びつきが弱い

 (一方、サイコパスとは逆に、前頭前皮質と扁桃体の結びつきが強すぎる人もなかにはいます。このような人は、社会不安障害(対人恐怖など)やパニック障害、うつなどに罹患しやすいこともわかっています。)》

 
《◇107㌻
 「サイコパス」を対象にした脳画像の研究から、示唆されたのは次の4つのことです。
①脳梁の拡大
②海馬後部の体積減少
③海馬前部の非対称(左側より右側のほうが著しく大きい)
④前頭前皮質の灰白質の容積減少
 (このうち、③と④は、「成功していない」(負け組)サイコパスに見られるもので、「成功した」(勝ち組)サイコパスには認められていません。》


《◇216㌻
  「心理療法」は、大きく分けて次の3種類に分類できます。
①精神分析的心理療法
②人間学的心理療法(〈※〉)
③認知行動療法

〈※〉人間学的心理療法とは、人間性心理学(自己実現など肯定的価値観を主体とする心理学)をベースにしたもので、アメリカの臨床心理学者カール・ロジャースが提唱したパーソンセンタード・セラピー(来訪者中心療法)、ドイツの精神医学者フレデリック・パールズによるゲシュタルト療法などがあります。)

 認知行動療法は、ものの受け取り方や考え方(認知)に働きかけ、その帰結としての人間のふるまい(行動)を変化させていくという心理療法です。
 ただし、認知行動療法を含む心理療法は、前提として患者が「何を不安に思い、苦しんでいるのか?」が出発点になります。サイコパスにはそもそも「不安」がありません。出発点がないのです。しかも彼らは行動を改めることを拒みます。サイコパスは裁判所をはじめ、刑期を左右する人間に取り入れるためだけに(悔悛していることを装うために)、治療プログラムに参加するのです。》

追補です。(「認知行動療法」をとって治療しているあなたへ・・・) 
 (サイコパスは〉
《◇150㌻
・脳の機能について、遺伝の影響は大きい。
・生育環境が引き金となって反社会性が高まる可能性がある。
◇221㌻
・このように、サイコパスの治療は、そう簡単にはいきません。場合によっては、"治療後”のほうが再犯率は上がってしまいます。近所の精神科に通うレベルではとうてい治すことは不可能なのです。》

 ということで、「サイコパス」という一端を知ることができたという本となりました。



 中野信子著『サイコパス』の中から、歴史上にその名を残している人物を一人描き出し、この章を終わります。


《◇革命家・独裁者としての勝ち組サイコパス

 ミシガン州オークランド大学工学部教授のバーバラ・オークレィの著署『悪の遺伝子』では、毛沢東もサイコパスだったのではないかという推察がなされています。
 幼少期の毛沢東は父親に向かって、「年長者なのだから年少者の自分より仕事をするべきだ」と主張したといいます。これは儒教社会の中国ではとんでもない非礼にあたります。「長幼の序」という価値観を否定した毛沢東は、生まれながらの権威の破壊者、革命家だったのかもしれません。
 そして彼は持ち前の弁舌の巧さで人々を魅了し、権力を獲得しました。毛沢東の名言の一端は、『毛沢東語録』にまとめられています。
 しかし、毛沢東の私生活は破綻していました。複数の愛人をもち、最初の妻やその息子が捨てられて零落し、精神疾患で苦しんでも、憐憫の情をまったく示さなかったそうです。
 家族を含めた他人の痛みがわからない人間でなければ大粛清(〈※〉)をおこなうことなど不可能だったでしょうし、文化大革命で貴重な歴史的遺産や芸術作品を破壊するなどということもできなかったでしょう。》

〈※〉:文革には共産党内部の権力闘争と、その大衆運動化という二重の性格があり、悲劇は拡大した。文革中の奪権闘争や武闘で約2000万人もの死者が出たともいう。
出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
(それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。)