このところの本 2/2

2015/ 08/ 28
                 
 
 本屋(宮脇書店)に入った目の前に、書籍が山積みしてあります。

 そのうちの一つが、芥川賞作家、又吉直樹氏の「東京百景」でした。
 本を開いてみると、「一」から「百」まで、漢字で通しナンバーをつけています。
 私の東京時代(いま思い出したところでは、七か所)に住んでいた場所と、作家が描く「東京百景」とが重なるところは一つしかありませんが、「一 武蔵野の夕陽(井の頭公園)」からはじまり、下北沢、三鷹、原宿、吉祥寺、立川、国立、明治神宮、渋谷道玄坂、駒場の日本近代文学館、豊島園、荻窪、羽田空港、四ツ谷駅、隅田川、浜離宮、日本橋、赤坂・草月ホール、富岡八幡宮、池袋、晴海埠頭、代々木、恵比寿、神保町古書店街、東京タワー、高尾山薬王院、雑司ケ谷の漱石の墓、祖師ヶ谷大蔵、湯島天神と、あのころの日々を思い出す地名などがどんどん出てきましたので、ついつい手に取ってしまいました。

【「東京百景 又吉直樹」 発行所ヨシモトブックス 2013年9月26日初版発行 2015年5月25日5刷 】
 ◇ピース・又吉直樹 すべての東京の屍(しかばね)に捧ぐ  
 〇「東京は果てしなく残酷で時折楽しく稀に優しい」 いま最も期待される書き手による比類なき文章100編

東京百景

 作家又吉直樹は、「はじめに」の中で、語っています。
 「・・・東京暮らしが十年経った頃、新しく連載の話をいただいた。この機会に東京での思い出を、その折々の風景に委ねて書いてみたいと思った。題名は『東京百景』。太宰治の短篇『東京八景』も頭の片隅にあった。書くと決まると心が躍った。あれも、これも、それも書きたい。かって真っ白だった頭の中の地図には無数の地名と線と雑記が書き込まれていた。
 『東京百景』を書き終えた時、僕は三十二歳の中年になっていた。青春と云うには老け込んだ。だが大人と云うには頼りない。誇れる事は一通りの恥をかいたという事のみ。・・・」



【「人間の分際(ぶんざい)」 曽野綾子 幻冬舎新書 2015年7月30日第1刷発行 2015年8月15日第5刷発行】

 まえがきの文章最後に『・・・分際を心得て暮らせば、それはその人にとって最高の一つの形なのだ。こんな簡単な原理さえ見極められずに、「人並み」や「流行」を追い求めて死ぬ愚か者は、多分世間に私一人ではないのである。」と括っていますが・・・。はてさてこの本はどんなことが書かれているのでしょうか。

人間の分際

 第一章 人間には「分際」がある
 第二章 人生のほんとうの意味は 
      苦しみの中にある
 第三章 人間関係の基本は
      ぎくしゃくしたものである
 第四章 大事なのは「見捨てない」ということ
 第五章 幸せは凡庸の中にある
 第六章 一度きりの人生をおもしろく生きる
 第七章 老年ほど勇気を必要とする時はない



【「大方言」 百田尚樹 新潮新書 2015年8月20日発行】
 ◇大マスコミ、バカな若者、
  無能な政治家、
  偽善の言論・・・・・・
 ◇著者初の書下ろし新書
 
大方言 百田尚樹

 ・帯カバーの折った裏面にかくのごとく書かれてありました。
 ◇「思ったことや軽いジョークを口にしただけで、クレーム、パッシングの嵐。求められるのは人畜無害な意見ばかり。こんな息苦しい世に誰がした? 数々の物議を醸してきた著者が、ズレた若者、偏向したマスコミ、平和ボケの政治家たちを縦横無尽にメッタ斬り。炎上発言の真意から、社会に対する素朴な疑問、大胆すぎる政策提言まで、思考停止の世間に一石を投じる書下ろし論考集。今こそ我らに”方言の自由”を!」
 ・著者まえがきにしたためたメッセージ、狭苦しい日本の現実を如実に物語っています。
 ◇「・・・しかし現代では、どんな一言でも集中砲火を浴びる危険が待っている。学者や文化人も、論文や論説の一部を切り取られ、あるいはその主張を捻じ曲げられ、メディアやネットで非難囂々の憂き目にあうことは珍しくない。下手をすれば、学者生命、文化人生命を失いかねない。
 その結果、多くの人が八方美人的な発言しかしなくなった。誰も傷つけない毒にも薬にもならない大人のセリフしか言わなくなったのだ。テレビに出てくるコメンテーターと呼ばれる人たちのクソ面白くないセリフはどうだ。・・・」



【超訳 日本国憲法 池上 彰 新潮新書 2015年4月20日発行】

 中学3年生の時、社会科の教科書の一番後ろの文献に、「日本国憲法前文」が載っていました。
 池上彰著の「超訳 日本国憲法」の末尾に「日本国憲法 全文」が掲載されています。
 憲法前文は、それほど長い文章ではありませんので、本文中の「前文」にも原文全てが引用されています。
 あの当時、憲法前文をマル暗記していたことがあったので、目をつむって諳んじてみましたが、やはりすらすらとすべての文章がよどみなく出て来ませんでした。

日本国憲法 池上彰

 ◇「はじめに」を締め括るにあたり、『・・・この本では、日本国憲法の原文を紹介しつつ、一読ではわかりにくい個所について、「超訳」を試みました。双方を読み比べていただければ、憲法特有の言い回しの知識を得ながら、その内容の理解が深まるものと思います。
 さらに、憲法の条文の解説に留(とど)まらず、その条文をめぐって、過去にどんな論戦があったのか、憲法にもとづいて、どんな法律が誕生したのか、等々についても触れました。憲法をめぐる改憲などの論戦を知ることで、いまの憲法の歴史的意味についても理解できるものと考えます。
 本書が、憲法理解の一助になれば、こんなに嬉(うれ)しいことはありません。」と、池上彰は述べています。



【「文藝春秋 九月特別号」】

 ・第153回芥川賞作品が掲載されていますので、手に取りました。
 又吉直樹氏の「火花」は既に単行本で読んでいます。
 死を待ち望む祖父を介護する無職青年の最長譚、羽田圭介氏の「スクラップ・アンド・ビルド」は、402ページから460ページに載っていました。

文藝春秋2015年9月号特別号

 ・中曽根康弘氏は、1918年(大正7年)5月27日生れですから、今97歳です。
  九月特別号の、142ページから158ページにかけて、
『大特集「昭和九十年」日本人の肖像 
 中曽根康弘 元内閣総理大臣 
  大勲位の遺言 
  東京裁判、歴史認識、集団的自衛権、憲法改正―― 今、日本人に言い残しておきたいこと』
 という記事が掲載されています。
 余裕矍鑠たる筆致で、少しも老いを感じさせないのには、感心のほかはありません。
 なるほどとうなずける箇所が多いのは、歴代の総理大臣経験者の中でも、その識見と品性と品位とが図抜けているからこそと、思い至ります。
 「孫子の世代のために」「九十七歳の私から若い世代へ」の中で、かくあるべき日本の姿を論じています。「・・・五十年後、百年後の日本と世界を担う孫子の世代を育てる責任は我々世代が負う。・・・」と、いみじくも語っています。


 ・新国立競技場 遅すぎた「白紙撤回」 由利俊太郎 ジャーナリスト 
  「ザハ案では、震度七に耐えられない」。予算倍増の原因を政府は看過していた」
 256ページから8ページに及ぶ、内幕話を交えた記事です。

 ・時事通信 8月28日(金)11時20分配信
 「政府は28日午前、2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場に関する関係閣僚会議(議長・遠藤利明五輪担当相)を首相官邸で開き、新たな整備計画を決定した。
 総工費の上限を1550億円とすることが柱。9月1日に設計・施工一括での企画案公募を行い、年内に事業者を選定、20年4月末の完成を目指す。」
 というニュースが先ほど飛び込んできました。



【文藝春秋 九月号特装版 文春ムック】
 昭和2年9月 特別付録「芥川龍之介追悼號」がついていることを知ったということもあり、アマゾンを介して取り寄せました。
 その追悼號を端から端まで、じっくり読んでみました。
 恒藤恭が「友人芥川の追憶」と題した文章は、15ページに及ぶ長きものになっていますが、芥川を描写していて特に印象的だった箇所をここに記しておきます。
 《・・・去る七月二十七日、芥川の遺骸が谷中の齎場から日暮里の火葬場に運ばれ、燒竈の中に移され、一同の燒香が了つたのち、ふと見ると、鐡扉のかたへにかけてある札の上の文字が「芥川龍之助」となつていゐた。その刹那に、若しも芥川がそれを見たら、『しやうが無いな』と苦笑するだらうと思つた。すると、世話役の谷口氏が『どなたか硯をもつて來て下さい。佛が氣にしますから字を改めます』といふようなことを言つた。「芥川龍之介」と改めて書かれた。何だか私も安心したやうな氣がした。生前、芥川は「龍之助」と書かれたり、印刷されたりして居るのを見ると、參つたやうな、腹立たしいやうな、淺ましいやうな感じをもつたものだつた。それは、彼が「龍之介」といふ自分の名を甚だ愛し且つそれについて一種の誇りをもつて居たからでもあつた。第三者の眼から見ても、「龍之介」は「龍之助」よりもよほど感じがいゝし、そうエステチツシユでもある。しかし我(が)の強い彼は特別強くこの點を意識してゐたに違ひない。それは子供らしい誇であつた。しかしそんな所にわが、芥川の愛すべき性格のあらはれがあつた。彼の作品を愛讀してゐるとか、彼を敬慕してゐるとか云つたやうな事を書いて寄こす人が、偶々「芥川龍之助樣」と宛名を書いて居るのを見て、『度し難い輩だ』と云ふ樣なことを呟いた例を一二思ひ出す。

文藝春秋 2015年9月号 特装版 文春ムック

 
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