紅白の万両

2015/ 12/ 22
                 
 前橋の父が新築祝いにと持ってきた庭木の一つに、万両がありました。
 一本は白色の、一本は紅色の実をつけました。
  いつのまにか29年が経ち、そして知らずのうちに白色の実をつける万両は姿を消していました。

万両20151222
 万両:マンリョウ
 (葉っぱの下に実をつけるのが「マンリョウ」で、葉っぱの上に実をつけるのが「千両:センリョウ」です)


我が心点す狭庭の実万両  岸野幸子

万両と言ふ名の豊か実にも葉も  土井木賊

万両や実の深沈と古色めく  西崎佐知

色乏し庭に万両紅豊か  梅田澄子




 前橋の家の庭には、アツモリソウとクマガイソウが季節になると隣り合わせに一緒に咲いていたことを思いだします。
 アツモリソウの命はどれほどだったでしょうか。
 やがていつのまにかクマガイソウも見かけることはなくなりました。

《平家物語 巻第九 「敦盛最後(あつもりさいご)」

 熊谷次郎直実(なおざね)は、沖の船をさして落ちていく一騎を見た。
 「練貫(ねりぬき)に鶴ぬうたる直垂(ひたたれ)に、萌黄匂(もよぎにほひ)の鎧(よろひ)着て、鍬形(くはがた)うッたる甲(かぶと)の緒(を)しめ、こがねづくりの太刀(たち)をはき、切斑(きりふ)の矢負ひ、滋藤(しげどう)の弓もッて、連銭葦毛(れんぜんあしげ)なる馬に黄覆輪(き〈ン〉ぷくりん)の鞍(くら)おいて乗ッたる武者」である。

 熊谷は、「大将軍とこそ見参らせ候へ。〈中略〉 かへさせ給へ」と招いた。

 むずと組んで見れば薄化粧して金漿黒(かねぐろ)に染めた十六、七ばかりの美しい若武者で、
 「さらば汝がためには好い敵ぞ、名乗らずとも首をとって人に問え、見知ろうずるぞ」
 という。あっぱれ大将軍よ、この方一人逃しても戦に負けることはあるまい。わが子小二郎が軽傷を負っても自分は悲しいのに、この方の父が子の討たれたことを知られたらどんなに悲しまれることだろう、と煩悶(はんもん)するが、味方の軍勢が迫ってくる。同じくは直実が手にかけ参らせんと泣く泣く首をとった。

 若武者は腰に笛をさしており、顔を見て平経盛(つねもり)の末子(ばっし)敦盛(あつもり)と知られた。

 暁の城に聞こえたのはこの笛であったか、戦の陣に笛を持つ心のやさしさよと、袖を濡らさぬものはなかった。

 「繪本(えほん) 平家物語(へいけものがたり)」 著者安野光雅(あんのみつまさ) 発行所株式会社講談社  》

繪本平家物語巻九敦盛最後安野光雅


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