田淵行男記念館

2016/ 01/ 15
                 
 田淵行男は山岳写真家および高山蝶研究家として知られています。
 美しい北アルプスや緑豊かな安曇野を主な活動の場にしてなされた仕事のかずかずは、自然に対する愛情があふれています。
 この記念館には、そうした田淵の生涯にわたる仕事のなかから、代表的なものが展示されています。
 愛用のカメラで写した山岳写真はとくに、山の自然のすばらしさを知りつくした田淵行男ならではの作品です。山小屋風の記念館にふさわしく、一番のみどころです。
 日本にすむ高山蝶の生態写真にしても、蝶の彩色画にしても、彼の自然を思う心が見る人につたわってきます。
 一生をナチュラリストで通した田淵が、すがすがしいまでに自然を信頼しきった姿は、36冊の著書からもわかります。
 これほど自然への「賛歌」をうたいあげるために生きた人は、まれでしょう。


②田淵行男クモマツマキチョウ
 蝶の彩色画:クモマツマキチョウ



 《濃淡の配分》

  「黒い構図」

 両極端の濃淡のもたらす心理的な効果はというと、黒いほうは重々しく抑制的であり、白いほうは軽快で解放的である。さらにいうなれば前者は落着いて深味があり、深刻で暗示的である。それだけに重苦しく陰鬱な一面を伴ってくる。一方、白い画調(ハイキー)はこれと全く対蹠的で、明朗闊達であるが、それだけに原則的に強い印象を与える力に欠けている。
 私は日頃、山の作品で、こうした黒い部分の意味とか効果を尊重し、そうした傾向や形式を活用すべきであるとの考え方を強く抱いている。あえてローキーとまでいかなくても、図柄に黒い部分を取り入れることは画面構成上絶対に有利なことと思っている。モノクロームでは単調な白黒濃淡の諧調が画面に深度、変化をもたらす最良な手段であるから、少なくともこの白黒、濃淡の配分ということはよくよく考えてみるべきだと思われるのである。

④田淵行男山岳写真
 滝谷残照



 《量感の表現》

  「量感表現の基本と稜線」

 稜線の扱い方に関してまず考えられることは、稜線をできるかぎり画面の上方にとることである。ということは天空部をぎりぎりまでつめる結果になる。これはしごく平凡なことであるが、案外無頓着に処理されている場合が多く、私の日ごろ目にする作品の十中八九というものはこの意味で大なり小なり上方を切り捨てたい衝動に駆り立てられる。つまり漠然と天空部が取り入れられ、無為に遊んで、迫力を弱めている。そうした図柄のものの空をつめ、下方をつけ足すことによって構図も引きしまり、確実に数段迫力を増強できるので惜しまれてならない。
 稜線の取り扱い上考えたい点は、上昇(上向)線の効果ということである。つまり画面から消える直前に上方(少なくとも水平)に向くようにすることで、これは撮影の際はむろんのこと、印画調整の際わずかの心づかいでできることである。そうした、ほんのちょっとした稜線の扱い方いかんで見違えるほど量感にすぐれた作品になるものである。

③田淵行男山岳写真
 キレットの朝



田淵行男記念館①
田淵行男記念館
 長野県安曇野市豊科南穂高5078-2
  tel 0263-72-9964
 休館日:月曜日
  開館時間: 9:00~17:00
  入館料:高校生以上300円、中学生以下無料
  ♪新宿中村屋「信州・安曇野 ビーフときのこのカリー 中辛」のレロルトカレーも、他の書籍、絵葉書などとともに、コーナーに一緒に置いてありました。
 ・長野県産牛肉使用、・安曇野産ぶなしめじ使用、・安曇野産玉ねぎ使用です。
  “安曇野”は中村屋の創業者 相馬愛蔵の出身地。そして荻原守衛(碌山)の作品が展示されている碌山美術館は、中村屋と関係が深い美術館です。


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