木下夕爾「晩夏」  原民喜「夏」「夏」「碑銘」  

2016/ 08/ 01
                 


  木下夕爾(きのしたゆうじ)は、大正3年(1914年)10月27日、広島県に生まれました。
 詩集『晩夏』(浮城書房発行)は、終戦後5年経った昭和25年(1950年)に刊行されています。


「晩夏  木下夕爾」(※)

停車場のプラットホームに
南瓜の蔓が葡いのぼる

閉ざれた花の扉のすきまから
てんとう虫が外を見ている

軽便車が来た
誰も乗らない
誰も下りない

柵のそばの黍の葉つぱに
若い切符きりがちょっと鋏を入れる


(※)所収:日本詩人全集 33 昭和詩集(一) 発行所新潮社 昭和44年4月25日発行





 原民喜(はらたみき)は、明治38年(1905年)11月15日、広島県広島市に生まれました。
 詩篇『画集』〈高原七月号〉は、終戦後3年経った昭和23年(1948年)に発表されています。
 原民喜死後、『拾遺詩篇』、『画集』などの詩作品が載っている『原民喜詩集』が 昭和25年(1950年)7月、細川書店より刊行されました。
 

「夏  原民喜〈『拾遺詩篇』 かげろふ断章・断章〉」(※)

葉の花のあたりに
蝶がひらひらして居る
葉の花は沢山ある
蝶はひらひらして居る


「夏  原民喜〈『拾遺詩篇』 かげろふ断章・昨日の雨〉」(※)

みなぎれる空に
小鳥飛ぶ
さえざえと昼は明るく
鳥のみ動きて影はなし


「碑銘  原民喜〈『画集』 魔のひととき〉」(※)  

遠き日の石に刻み
    砂に影おち
崩れ墜つ 天地のまなか
一輪の花の幻


(※)所収:新装版 原民喜全集第三巻 発行所芳賀書店 昭和44年10月5日発行




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