『ダンマパダ』は、ブッダの"真理のことば”

2016/ 08/ 13
                 


 ものごとは心に導かれ、心に仕え、心によって作り出される。


 "苦しみ"を消すには、自分自身を変えるしかない。


 自分の救済者は自分自身である。
 他の誰が救ってくれようか。
 自分を正しく制御してはじめて、
 人は得難い救済者を手に入れるのだ。


 「100分de名著『ブッダ 真理の言葉』」(NHKテレビテキスト2012年3月アンコール放送)の、「はじめに」の中で、佐々木閑(ささきしずか)氏は、《「釈迦の仏教」は、念仏を唱(とな)えれば救われるといったような、誰かに救いを求める宗教ではありません。自分の道は自分で開けという厳しい教えです。》 《・・・いわゆる「神頼み」でないブッダの教えは、拝んで助けてもらう救済の宗教よりも、合理的な現代人の志向に合っているという・・・》と述べています。

 また、同氏は、「100分de名著『般若心経』」(NHKテレビテキスト2014年9月アンコール放送)の、第1回放送の中で、《・・・こちらから押しつけることはしないが、求める人にはすべてを与えるという姿勢です。ここで、「自利(自己の救済)」が「利他(他人の救済)」に転じるという点に注目してください。・・・私はときおり釈迦の仏教のことを"心の病院”であると言っているのですが、それは、苦しみや痛みを感じてやってきた人はすべて治療してあげるけれども、こちらからわざわざ町の中へ出向いていって健康な人まで引っぱり込んでくるようなことはしないという・・・》と論じています。
『ブッダ 真理の言葉』」ワールドは、仏道修行があればこそを前提としています。

 一方、釈迦の死から五百年以上経って現れた「大乗仏教」という新しい宗教運動を信奉する人たちの中に、「般若経(はんにゃぎょう)」と呼ばれる一連のお経を作った人たちがいます。『般若心経』は、そのたくさん作られたお経お一つです。
 そして、この『般若心経』で言うところの「最高の悟り」、言い換えれば"究極の善行”とみなしたものは、「般若経」を一度唱えることである・・・、世の中の人に「般若経」をどんどん広めていくのが最高の功徳である・・・と書き進めています。
 氏はその文中に置いても、《釈迦自身は「自分の教えを広めることが、悟りのための功徳になる」とは、一言も言っていないのです。》という言葉で、釈迦の教えと般若心経の教えを対比して説明しています。

 とまあ、双方に端的な違いがあるということが判ったうえで、 『般若心経』」「第4回 見えない力を信じる」を開けてみることに致します。
《・・しかし、経文やお念仏を唱えて心にパワーをもらい、そのおかげで病気を克服していく人、あるいは救いを感じる人がたくさんいるのは確かです。・・・病んでいるとき苦しんでいるとき、やはり理詰めの論理より、ぼんやりとでもいいから希望を与えてくれる不思議な力にすがりたくなるのは人の情けです。意味の理解できない経文でも、信じて唱えれば心が安らぎます。それは、どんなガチガチの合理主義者にも否定できない事実です。・・・》
 
 宗教に「個人のこころの救済」を求めるのであれば、「神秘」を触媒とする『般若心経』を唱えること、写経することによって、心のパワーを生み出すのだと。
 見えない力を信じる。ことが宗教理解の第一歩ということでしょうか。
 

 あらためて繰り返しますが、 『ダンマパダ』と、『般若心経』を同じテーブルに乗せてみると、両者の言っていることは両極端の位置にあるということが判ります。『ブッダ=釈迦』の教えと、『般若心経』の教えは、真逆であるということを、佐々木閑氏は再三にわたって語っているのですね。
 その違いの源はどこから来ているのかの詳細は、「釈迦の仏教」から「大乗仏教・・(「般若心経」)・・へ」の中で、後ほど述べたいと思います。


 はてさて 『般若心経』の、この上ない素晴らしさと効用が讃えられる文はどのようになっているでしょうか。 聖なる『呪文』を見ることに致しましょう。

 《【訳】
 ゆえに以下のことを理解せよ。
 般若波羅蜜多(智慧の完成)は大いなる真言(マントラ)であり、
 大いなる知力を持つ真言であり、
 大いなる知力を持つ真言であり、
 最上の真言であり、比類なき真言であり、
 一切の苦しみを鎮(しず)める真言であり、
 ウソいつわりがないから、真実なのである。》

 《これさえ唱えれば苦しみはすべてとり除かれる、どのようなことにも効く、万能の呪文だ、と言葉を重ねています。最高の賛辞です。・・・》

 《【訳】
 般若波羅蜜多(智慧の完成)において、真言(しんごん)が説かれた。それは以下の如し。
  「羯諦羯諦波羅羯諦 (ガテー ガテー パーラガテー)
   波羅僧羯諦 (パーラサンガテー)
   菩提薩婆訶 (ボーディ スヴァーハ) 」
   (行った者よ、行った者よ、彼岸に行った者よ、向かい岸へと完全に行った者よ、悟りよ、幸いあれ)
 以上、『般若波羅蜜多心』が終った。》


 佐々木閑氏の私たちへのメッセージです。
 《般若波羅蜜の不思議なパワーが多くの人たちに生きる力を与えてくれるよう心から願っています。

 「羯諦羯諦波羅羯諦 (ぎゃていぎゃていはらぎゃてい)
    波羅僧羯諦 (はらそうぎゃてい)
    菩提薩婆訶 (ぼじそわか) 」  》


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