武蔵国 前玉〖幸魂〗神社(さきたまじんじゃ)  埼玉県名発祥の地

2017/ 03/ 16
                 
 先日、前玉神社を久しぶりに訪れました。
 家猫が二匹出迎えてくれました。

さきたま神社猫①.

さきたま神社猫.②

さきたま神社猫④.さきたま神社猫⑤


 前玉神社本社に上る階段の手前左右に、1697年(元禄10年10月15日)、当神社の氏子たちが所願成就を記念して奉納した、高さ180センチメートルの2つの燈籠があり、それぞれにこの地を詠んだ万葉集の歌、「小崎沼」と「埼玉の津」が刻まれています。

石灯籠二基

 行田市教育委員会〈平成23年(2011年)〉による説明文には、《・・・この石灯籠は『万葉集』に納められた歌の歌碑としては、全国的にみて非常に古いものになります。江戸時代には『万葉集』の研究が盛んになり、関心も高まっていました。そうした中でいち早くこの歌碑を建立した当時のこの地域の人々の文化的水準の高さと、江戸時代の『万葉集』への関心の高さがうかがえる貴重な文化財と言えるでしょう。》と記されています。
 以下、「前玉神社」公式サイトより、お伝えしていくことにします。


◇右側「埼玉の津」の碑 :巻十四 三三八〇
 『佐吉多万能  津爾乎流布禰乃  可是乎伊多美
 埼玉(さきたま)の 津(つ)に居(を)る船の  風をいたみ

          都奈波多由登毛  許登奈多延曽禰』
          綱は絶ゆとも  言(こと)な絶えそね

 ※ 訳 ・・・
 埼玉の渡し場に停まっている船の(船を留めておくためのその)綱が、烈しく吹く風のために切れることがあっても、私たちの恋は切れて絶えないでおくれ(例え二人は逢えずとも、決して心伝える便りは絶やさないで下さい)。
 ※ 解釈・・・・・
 現在の行田市下中条のあたりが詠まれた地である。利根川の流路の船着き場であり、下総の国府から来た水路でかなり賑わいがあったと思われる。現在の行田市も、利根川土手あたりをはじめ赤城颪(おろし)のように烈しく風が吹く。
 北風の強いときは自転車を漕いでも、風に向かうと全然進めないくらいである。そのことを考えると烈しく吹く風の中で揺れたり激しく船に叩きつけられている「もやいの綱」を見ている実感が伝わってくる歌である。


◇左側「小埼沼」の碑 :巻十四 三三八〇
 『前玉之 小埼乃沼爾 鴨曽翼霧 
 埼玉の  小埼の沼に  鴨そ翼(はね)霧(き)る

   己尾爾   零置流霜乎  掃等爾有欺』
   己(おの)が尾に 降りおける霜(しも)を 払(はら)ふとにあらし

 ※ 訳 ・・・・・
 埼玉の小埼の沼で、鴨が羽ばたきをして水しぶきを上げている。自分の尾にふり降りた霜を払おうとしていようだ。
 ※ 解釈 ・・・・・
 虫麻呂は常陸の国守藤原宇合(うまかい)の臣下であり、ここ埼玉以外でも、美里町広木で歌を詠んでいる。公用の旅で訪れたときに、目に触れた情景に対して感じたままに歌を詠んだのであろう。




前玉神社( 埼玉県行田市大字埼玉字宮前5450 TEL.048−559−0464 )は、「さきたま古墳群」に隣接する神社です。

前玉神社鳥居

 前玉神社の御祭神は、『古事記』に記す出雲の神、前玉比売神(サキタマヒメノミコト)と前玉彦命(サキタマヒコノミコト)の二柱です。天之甕主神(アマノミカヌシノカミ)の子で、甕主日子神(ミカヌシヒコノカミ)の母です。  
 女神と男神が一緒に祀られていることから、恋愛成就を祈願する神社として、つとに知られています。


 高さ8.7m、周囲92mほどの浅間塚と呼ばれる古墳上に建てられている前玉神社ですが、一説には大化の改新(645年)より一世紀以上さかのぼる安閑天皇、宣化天皇あるいは雄略天皇の頃の古墳時代(400年代後半~500年代前半)ではないかとも考察されています。
 その名残として、社はさきたま古墳群に向かって祈願するように建立されています。

前玉神社正面

 記録による前玉神社は、「延喜式」(927年)に名前が載る古社で、幸魂(さいわいのみたま)神社ともいいます。700年代の古において当神社由来によりつけられた〖前玉郡〗は、後に「埼玉郡〗へと漢字が変化し、現在の埼玉県の名称にへとつながっていきます。かようにして前玉神社は、埼玉県名の発祥となった神社であると、こんにちいわれているところです。

 また、武蔵国前玉郡(むさしのくにさきたまのこおり)は、726年(神亀3年)正倉院文書戸籍帳に見える地名だと言われています。
 1978年(昭和53年)に解読された稲荷山古墳出土の鉄剣の銘文から、471年には大和朝廷の支配する東国領域が、北武蔵国に及んでいたのは確実であろうといわれる由縁です。














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