冬の詩 冬二

2013/ 12/ 03
                 
冬の着物  田中冬二

冬になると
私は綿の沢山はいった ふるさとの
あの手織木綿の着物をきる

それは雪の来た山のにおいがする
石臼に碾(ひ)く黄粉(きなこ)のにおいがする

それはまた障子に赤くたばこの葉をかいた家
大きな蝋燭(ろうそく)の看板のさがっている家
――祖先からの古風な家々に
しずかになにか夜延(よなべ)にいそしんでいる
ふるさとのびとのあたたかい心がある



ふるさとにて  田中冬二

ほしがれいをやくにおいがする
ふるさとのさびしいひるめし時だ

板屋根に
石をのせた家々
ほそぼそと ほしがれいをやくにおいがする
ふるさとのさびしいひるめし時だ

がらんとしたしろい街道を
山の雪売りが ひとりあるいている
                少年の日郷土越中にて



日本詩人全集18
中勘助  八木重吉
田中冬二

昭和43年6月20日発行
著作者 中勘助  八木重吉  田中冬二
発行所 株式会社新潮社



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