約束の海 最終回

2014/ 01/ 08
                 
 週刊新潮 1月16日迎春増大号 
 約束の海[連載小説 最終回] 山崎豊子  
 去るべきか [四)
 ・・・     ・・・     ・・・
 ・・・ 各種の書類に混じってエア・メールの消印がくっきり読み取れた。花巻は思わず、その絵葉書を手にとった。差出人はやはり小沢頼子だった。裏を返すと、教会らしき建物の写真が印刷されていた。

 カイザー・ヴィルヘルム教会にて――
 昨日、東西ベルリンを隔てていた壁の一部が、民衆によって、打ち砕かれました。渋谷でお話していたのは、まだ初夏でしたね。それが今、現実に起り始めたのです。
 平和を心から祈ります。
 ・・・     ・・・     ・・・
 ・・・ その結果、自分にどんな決断が出来るのか、今はまだ分からない。だが、西ドイツから届いた頼子からのはがきは、今後の自分の道しるべのように思えた。
 その一歩が、ハワイでの訓練、研修なのかもしれない。この先、世界がどう動くのか、何が待ち受けているのか。
 畏れを抱きながらも、揺るがぬ決断がそこから生まれる気がした。
  (第一部完結)

 《この作品は、多数の関係者を取材し、小説的に構成したもので、登場する作中の人物などは架空である。》


――〈主要参考文献・資料〉―― 
 「『捕虜第一号』 坂巻和男 新潮社」など、37の文献、資料、映像を列記。
 その最終五行には、次の通りに書かれています。

この他、朝日・毎日・読売・日経・産経・東京各紙の関連記事の他、主要週刊誌、経済誌、情報誌の関連記事。また、それ以外にも、日本政府、在日米軍、防衛省(自衛隊)等の多数の関連資料(内部資料含む)を参考にしました。国立国会図書館、国立公文書館、米国国立公文書館等に収蔵されている文書・写真等も参照しました。
その他の文献・資料と、取材協力者のお名前は単行本の巻末に明記致します。

 

 10週の連載で第一部が終わりました。第二部に入ることなく『約束の海』は出版されることになります。




パンジー⑩


 
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