「約束の海」幻の結末

2014/ 02/ 18
                 
 山崎豊子さん絶筆

 作家・山崎豊子さんが昨年9月、88歳で亡くなる直前まで手がけていた未完の大河小説「約束の海」に、結末までの展開を記した粗筋が残されていたことがわかった。新潮社から20日、刊行される「約束の海」の単行本に、21㌻にわたり収録される。

 粗筋確認、単行本に収録へ

 「約束の海」は昨年8月、週刊新潮で「第一部」の連載を開始。1989年、主人公の若き海上自衛隊員・花巻朔太郎が乗務する潜水艦が遊漁船と衝突、多数の死傷者を出すシーンが描かれる。9月中旬、山崎さんは「第一部」の最期の場面を完成させた直後に入院。同月29日、亡くなった。20回分、400字詰め原稿用紙で約450枚分の第一部は、先月まで同紙に連載された。

 山崎さんは長編小説執筆時、小説全体を見渡すために「進行表(粗筋)」を作るのが常だった。今回も秘書の野上孝子さん(74)が清書した全体構想A3版用紙6枚分を作成、編集者にも詳細な年表を書かせていた。

 粗筋によると「第二部 ハワイ編」は日米開戦時、旧日本海軍の特殊潜航艇要員として真珠湾に出撃、捕虜第1号となった朔太郎の父親の過去が明かされる。

 「第三部 千年の海」の舞台は現代。中国の原子力潜水艦が日本領海に接近する一触即発の事態に、艦長となった朔太郎が直面する。

 山崎さんは30年前に「第二部」のモデルとなった人物を知り、「いつか書きたい」と構想を温めてきた。「過去の戦争を描くだけでは若い人に伝わらない」と、親子2代の話とする方針が固まった後も「戦争の不条理を犠牲者側から描いてきた自分に、武力を持つ自衛隊を描く資格があるのかと悩み、何度も『書けない』と断念しかけた」と野上さん。「だが、<戦争をしない軍隊>のあるべき姿を考え抜こうと覚悟を決めたようだった」という。

 新潮社では、このプロットを基に、他の作家に書き継いでもらうことも検討したが、山崎さんが最後に残した小説の世界観を尊重し、そのまま収めることとしたという。

2014年(平成26年)2月18日(火曜日)  讀 賣 新 聞




鴻巣雛⑥



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