むべ

2014/ 03/ 25
                 
 田舎の家のむべの棚が、2月の度重なる大雪で、倒壊しました。

 駐車場所の入口の垣根のところにも、むべの蔓がのびています。
 そのツタの先に、五つのムべが実ったままになっていました。

実ったままのむべ

むべ


 その昔、天智天皇が感嘆した言葉、「むべなるかな」(※)に由来したといわれる「むべ」。
 爾来、無病息災、長寿の源の果実として、その名を全国に広めたといわれています。

 お昼前に到着した妹が、ムべの棚が取り払われ、(部屋が)「明るくなったね。」と、居間から庭を眺めながらひとこと。
 昨日に続き、今日も晴れたふるさとの空でした。

 帰りしな「母に。」といって、郁子を妹に手渡しました。


 郁子(むべ)は、秋の季語です。
 木通(あけび)に似た常緑のつる性低木なので、ときわあけびともいいいます。実は卵黄形で紫色をしていて大きさはおよそ5cmほど。熟しても、アケビのように開裂しないのが特徴です。水分が多くて甘い果実です。
 茎や根は、強心剤・利尿薬として用いられるとのことです。

 郁子の門くゞりてつねのごと帰る   長谷川素逝

 むべ熟す母故郷に氷遊び       近藤宇邨


 百人一首にとり上げられている、文屋康秀の歌のなかにある「むべ」というのは、勿論副詞ですが、前述の「ムベ」の出処の言葉として、印象に残ります。

  吹くからに 秋の草木(くさき)の しをるれば 
    むべ山風を 嵐といふらむ
                 文屋康秀(22番) 『古今集』秋下・249

      
  山から秋風が吹くと、たちまち秋の草木がしおれはじめる。
  なるほど、だから山風のことを「嵐(荒らし)」というのだなあ。
 
 「むべ」:[なるほど]と言う意味の副詞。上の句の韻を踏まえ「なるほど、だから山風を嵐というのか」と理由を推測して頷いています。
 

(※)
 とある日、あるところで、天智天皇が、たくさんの家族とともに暮らしているお年寄りの夫婦と出会いました。
 大層元気で、いき溌剌としている二人をみて、「どうして、そんなに若々しいのか?」と、問いましたところ、「この果実を毎年食べているから、健康な生活が出来、長寿を保っています。」という返事です。
 天皇は差し出された果物を一口頬張って頷きながら、「むべなるかな」と、お言葉を発せられたとのことでした。




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