天文・・・夏

2014/ 07/ 17
                 
 「虹」は、夏に多く見られることにより、夏の季語となっています。 
 太陽の光が雨滴によって屈折反射して起こる現象ですので、常にお日様を背にして見ることになります。平地で見る虹は半円形ですが、高地から見ると円形に見えたりします。夕立の後、さっと七彩の弧を描いた虹は、ときに、目の覚めるような美しさで突如として現れます。朝虹は雨に、夕虹は晴れになる前兆ともいわれています。

 あなたは、二重、三重の虹の架け橋をみたことがありますか。
 

虹 ・・・ にじ、朝虹、夕虹
 虹のもと童行き遭へりその真顔   嘉藤楸邨


夕立 ・・・ ゆうだち、ゆだち、よだち、白雨(ゆうだち)、驟雨(しゅうう)
 夕立に一顧もくれず読書かな  星野立子


雲海 ・・・ うんかい
 朝焼の雲海尾根を溢れ落つ  石橋辰之助


夏の星 ・・・ なつのほし、夏星、星涼し、梅雨の星、旱星
 夏星に海も日暮れの音展く  飯田龍太


夏の月 ・・・ なつのつき、月涼し
 なほ北に行く汽車とまり夏の月  中村汀女


雲の峰 ・・・ くものみね、入道雲、積乱雲、雷雲、峰雲
 雲の峰もろにむらだち力満つ  石原八束


夏の雲 ・・・ なつのくも、夏雲
 誰も来て仰ぐポプラぞ夏の雲


夏の空 ・・・ なつのそら、夏空、夏の天、夏天
 夏空へ雲のらくがき奔放に  富安風生


夏の日 ・・・ なつのひ、夏日、夏日影
 夏の日や薄苔つける木木の枝  芥川龍之介


〈短歌:夏の日〉
 夏の日は偉人のごとくはでやかに今年もきしか空に大地に  中原中也

〈短歌:初夏(はつなつ)〉
 こほろぎはあなたこなに鳴きゐたりいまだ
 初夏(はつなつ)のこの畠中に  北杜夫

〈短歌:晩夏〉
 いわけなきこほろぎの仔の逃げかくる庭隈(にはくま)の
 土の晩夏のひかり  北杜夫

 ・北杜夫二首:歌集「寂光」所収 昭和56年4月20日初版発行 発行所中央公論社
  

〈詩:夏の朝〉
 [靑い瞳]より  中原中也

     1 夏の朝

 かなしい心に夜が明けた、
    うれしい心に夜が明けた、
 いいや、これはどうしたといふのだ?
  さてもかなしい夜の明けだ!

 靑い瞳は動かなかった、
   世界はまだみな眠ってゐた、
 さうして、『その時』は過ぎつつあつた、
   あゝ、遐(とほ)い遐いい話。

 靑い瞳は動かなかった、
   ――いまは動いているかもしれない……
 靑い瞳は動かなかった、
   いたいたしくて美しかった!

 私はいまは此處にゐる、黄色い灯影に。
   あれからどうなつたのかしらない……
 あゝ、『あの時』はあゝして過ぎつゝあつた!
 碧(あを)い、吹き出す蒸氣のやうに。

               









   




 
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