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トンボ目の奥 そは誰(たれ)ぞ

2020/ 07/ 23
                 

 目クルクルトンボと遊ぶ幼き日

 そは誰ぞトンボ目の奥何を見る

 トンボ



 笠にとんぼをとまらせてあるく   山頭火


 誰にでも思い出はあります。
 田舎があったおかげで、今でもこみ上げてくる記憶があります。
 私の田舎は一つではないのです。
 幾つもあります。
 父の転勤々で、小さいころからあちこちの土地に住みました。
 川があり、山があり、坂道があり、野原がありました。



 

                 
        

植物散歩 おけら ・・・ちち・・・

2020/ 06/ 29
                 

 父愛でる在りし日偲ぶ山野草

 父植えし庭百八つの山野草

  202水芭蕉


 8月29日は、父の命日です。
 『エッセイと探求 植物散歩』通巻11が、勉強部屋の書棚に置かれていました。6月26日のことです。


 恋しけば袖も振らむと武蔵野(むざしの)のうけらが花の色に出(ず)なゆめ  
 ―万葉集 巻十四東歌3376―
   〈「うけら」=「おけら」〉


 201 おけら.

 おけら

 おけらという奇妙な名前の草がある。
 又一方、虫にも、おけらと俗に呼ばれるものがある。辞書をひくと、虫のけら〔螻蛄〕は、直翅目の昆虫、コオロギに似て、体長約三センチメートル、前胸は卵形に膨大し、暗褐色で硬化した前翅と短小な後翅とを有する。前翅は大きく、土を掘るのに適する。昼間は土中に潜み、夜、飛び、よく燈火に来る。農作物を食害、夜間涼しい声を出して鳴く、これを俗に「みみずが鳴く」という。と説明されているが、百聞は一見に如かずで説明よりも現物を一度見ればわすれられない、いやらしい虫である。
 
  ツタ203 アケビ

 ここに述べるのは草の方のおけらである。
余り知られていないものなので、又辞書の説明を見よう。

 おけら〔朮〕、キク科の多年草、茎は下部木質、春宿根から出た若芽は多くの白軟毛を被る、高さ約六〇センチメートル、葉は硬質で鋭い刺状の鋸歯をもち、深く羽状に分裂することも多い、秋、白色、まれに淡紅色の頭状花を開き、周囲に総苞を具える。根は漢方の健胃薬、屠蘇散とし、また、蚊遣りに用いる。若芽は食用、古名「うけら」と説明されている。

  204庭の野草

 この草の特徴は、人の目につかない目立たないことにあるので、山歩きしても余り気がつかないのである。従って知っている人も余り無いのではなかろうか。この草を何年か前に垣根のそばに、ちからしばと並べて植えておいた。気付く人は無いだろうと思っていたところ、此の間(冬の寒さの残る三月)これの枯れた茎の上の惚けた枯花(総苞の形がおおしろい)の様子が目にとまり、欲しいと申し込まれたのには、ビックリしたのである。おけらよ、お前を見い出して下さった方に感謝せよ、と心の内で思ったことである。

  207福寿草

 茶の湯の心得のある方らしく、茶室にでも飾るのではないかと、想像してみたのである。茶花として売られているものもいろいろとあるのであろうが、おけらの花は売られていないであろう。又、山草を売っているところにも、おけらは見当たらないであろう。

  ムベ.

 私が、このおけらという草を知ったのは、松田修氏の「日本の花」からである。そして、万葉の恋歌も知ったのである。
 恋しけば 袖も振らむと 武蔵野の うけらが花の
 色に出なゆめ
 恋しいから袖も振りましょう、しかし武蔵野のうけらの花の目立たないように、世間の人達に知られないように、こっそりとふるまいましょう、とでも解釈したらよろしいか。
 万葉人は、ほんとにつまらぬ草にも、その特徴を、実によくつかんで、恋歌にまで読み込んでいるものと、感心する他はない。


                 
        

植物散歩 草木染 ・・・はは・・・

2020/ 06/ 28
                 

 はは嬉し機に織りなす草木染

 ちちの庭宝の山の草木染

 ちちははの織りなす庭の山野草


 巴旦杏201 -




 山藍もち擦れる衣着てただひとりい渡らす子は若草の夫かあるらむ
  ―万葉集 巻九 1742― 〈「山藍」(やまあゐ)=「アイタデ」、「タデアイ」ともいう〉


   草 木 染

 115 八重桜 -

 
 はじめて草木染を試みたのはシブキでした。シブキというのはヤマモモの樹皮を乾燥したもので、市販されています。これを細かく切って何度も煮出し、それを集めた茶色い汁を染液にします。この液に糸を浸し、二、三十分煮た後明礬(ミョウバン)を溶かした液に漬けて、また二、三十分おく。これを媒染(バイセン)といい、良い色を出し、しっかり染め付ける助けをします。これで糸は茶がかった黄色に染まります。この黄色の上に、蘇芳(スオウ)を染め重ねるとくすんだ赤になり、媒染剤を明礬(ミョウバン)でなく鉄にすると緑っぽいねずみ色、銅だと鮮やかな金色になります。

 111福寿草 -


 十七、八年前、主人の転勤で二年ほど松本で暮らしていたことがあります。当時は紬(ツムギ)ブームで、草木染の糸で縞を織り上げた信州紬は、素朴な味があり、人気があったようです。私も機織りがしてみたくなり、農家の納屋に眠っていた高機(〔たかばた〕手織り機の一種)をゆづりうけて、まず糸の染から始めたわけです。
 染め上がった糸の糊つけ、整経、チキリ巻き(経糸〈タテイトを〉巻く中央がくびれた棒状のもの)、綜絖(そうこう)通し〈よこ糸を通すヒ道をつくるためにたて糸をあげさせる道具〉、筬(おさ)通し〈たて糸の位置を整え、よこ糸を織り込むのに用いる織機の付属具〉、とたて糸をセットするだけでも数々の工程があり、馴れない者が一人でやるのは大層な手間で、帯一本と、着尺一反織り上げるのに随分長いことかかりました。
 その間に、手近にある梅の枝、栗の落花、くるみの樹皮、よもぎの葉等から染料をとることを教わりました。また媒染剤は、灰汁、明礬、木酢酸鉄(モクサクサンテツ)等の一般的なものから、銅、錫、クロム等の金属類の粉末を使うと、一段と発色も良く、堅牢な染め付けが出来るとのことでした。
 実際に染めのいろいろをしてみたのは、群馬へ帰ってからですが、主人が山の木や野の花等やたら植え込んであるお陰で、剪定した枝や葉、庭の草等材料は自給自足で済みました。

 113梅の花


 今までに試みたものをいくつか書いてみます。

 72カタクリの花 -


 媒染剤
灰汁=庭で木の葉や枝をいつも燃やしているので灰がたくさんできます。これを水に入れてかきまぜ、その上澄みを取って使う。
明礬=お湯に溶かして使います。
両方とも黄・茶の発色に使う。
木酢酸鉄=東京へ出た時染材店で蘇芳や他の媒染剤と共に購入しました。一度に使う量はごく少しなので、一瓶あれば何年も使えます。
ねずみ色・黒茶・青茶等に使う。
塩化第一錫=硫酸銅・酢酸クロム等よい色が出ますが、劇薬なのでこの頃はなるべく使わないようにしています。

 73アンズの花


 染料になる草木
杏=幹を削って煮出しして使います。芯の赤いものほどよく、灰汁で媒染するときれいなオレンジ色、鉄で媒染すると緑色がかったねずみ色。
梅=枝・葉も使えます。杏と同じに染めます。
八重桜=盛夏の頃の濃い緑色の葉を使い、灰汁で媒染するとピンクに近い肌色になります。とても美しい色ですが、しばらくおくと茶色味が出て来ます。草木染にはよくあることで、空気に晒されて次第に落ち着いた渋い色合いになり、それはそれでよい色ですが、淡いピンク色がそのまま保てたら、と残念にも思います。
くちなしの実=これは媒染剤などなくても良く染まります。
玉ねぎ=料理の度に表皮をとっておくと結構たまります。
明礬で黄色、灰汁だとそれより赤っぽくなります。
栗=木・葉・実の皮・落花、何でも染料がとれます。
灰汁、明礬で茶っぽい黄色、その上に鉄で媒染し、何度も染め重ねると栗色になります。
くるみ=これもよく色が出ます。鉄媒染で黒茶が出ます。
はぎ・のばら・よもぎ・ふじ・げんのしょうこ
=鉄で媒染すると、ねずみ系の色が出ますが、少しずつ色合いが違います。

 113梅の花


 色と言葉で表現するのはむずかしいことで、草木染ではほとんど黄・茶・ねずみといった色ですが、同じ植物を使っても、その濃度、媒染剤の種類と量によって様々な色に仕上り、そこに面白味もあります。
 赤味の色がほしい時には蘇芳を使います。シブキの黄色の上に重ねると錆朱のような色になり、杏や梅の上に重ねると、紅色に近くなります。
ヤマモモ=シブキという名で売っている樹皮の乾燥したものを使いました。媒染剤を使いわければ、黄、茶、オリーブ、黒ねずみに染まり、その上に蘇芳を重ねれば赤味の色、藍をかければ緑から黒まで色の種類も豊富で、染め付けもよく、非常によい染料植物です。生のものにはご縁がなくて、使ったことはありません。
アイタデ=庭に毎年種子がこぼれて、夏になると元気のよい葉でいっぱいになります。一度、生葉染めをしてみました。濃い緑の葉を集め、少しの水を差して擂り鉢で擂り、滓をしぼり捨てると、緑色の濃い汁が取れます。煮立てると色が悪くなるということなので、汁の中でしばらくもみながら染め付け、銅で媒染しました。緑がかった水色で青にはなりませんが、良い色です。
 青い色はクサギの実から取れるそうですが、たくさん集められませんから試してみたことはありません。
 以上少しばかりの経験を述べてみました。野山を歩けば染料になる植物は、このほかいくらでも見つけられると思います。

 114 椿一輪 -


 〈※註:「機織機」の説明の〔〕の中は、編集部で広辞苑を参考にして差し入れましたのでご了承願います。〉


 66フキノトウ.

                 
        

初詣で

2020/ 03/ 09
                 
 

 ふるさとの山並み遥かただ奥処(おくか)

 9-2-1 -山並み


 ふりかえり何を思うかふるさとよ

 木曽神社 石段


 月明かり足元照らす過ぎし日を指折り数えただ徒に

 木曽神社 流れ


 月光を弾くやきみの目遠き日を

 雪の木曽神社




 「断捨離」をしていたら、謄写版刷りの、「第二回朗読弁論会 原稿集」〈勢多郡第三部学事会国語研究部編〉が出てきました。

 ことしの元旦は、朝早く初詣でにいこうと、おにいちゃんたちとやくそくしてあった。ぼくは、その前の日は、はやくあしたがこないかなあ、と、思っていた。そして、三十一日がやってきた。もうむねの中が、わくわくしている。おとなりの和ちゃんたちと、いくよていだ。午後、和ちゃんがあそびにきた。
「想ちゃん、はやく夜になったらいいなあ。」といった、ぼくは、
「うん。」といって、
 「今のうちに、よういをしておこうか。」と、いったら、
 「なにをよういするんだい。」
 といった、ぼくは、
「あっ、そうか。よういするものなんてないなあ。」
といって、わかれた。
 いよいよ、夜になった。夕飯を食べて、あとは初詣でをまつばかりだ。にいちゃんが、
「十一時半ごろまで、ねていようか。」
といった。ぼくは、「うん。」といって、ふとんをしいて、とこにもぐった。ねえちゃんもにいちゃんも、ふとんをしいていた。ぼくは、おかあさんに、
「お正月学校にいくから、新しいズボンやうわぎをそろえておいてね。」といったら、おかあさんは、
「まくらの上に、おいておきますよ。」と、いわれた。ぼくはあんしんしてねた。
 ふと目がさめた。もう十一時すぎだ。いそいでしたくをして、和ちゃんや、和ちゃんのおにいさんたちと、六人ででかけた。外は月の光で、ずいぶん明かるかった。大みそかというのに、風がなく、いつもよりよけいにふくをきていたので、からだがぽかぽかした。和ちゃんとぼくと、かたをならべて、木曽神社のそばまできた。ぼくは、いそいでかけった。和ちゃんも、ぼくといっしょにかけった。木曽神社のけいだいまできたら、もう、三人きていた。ぼくは和ちゃんより、少しはやかった。ぼくは、おにいちゃんたちがくるのを、まっていた。
 まもなく、にいちゃんたちがくると、あとからかんぬしさんがきた。かんぬしさんが、はじめにおがんでから、かみとふでとだいをもってきた。それは、きた人からじゅんに、一ばんの人の名前、二ばんのひとの名前をかいていくのだ。ぼくは四ばんだ。
 名前とばん号をかいて、和ちゃんにふでをわたした。じゅんじゅんにかいて、信子ちゃんまできた。おがんでから、家へいそいで帰った。
 家へ帰ってみると、一時すぎだ。そしてまたしばらくねた。目をさましてみると、もうあかるかった。さあ、いよいよお正月だ。今年は犬の年だ。ぼくも、犬のように元気よくうんどうして、よい年をおくりたいと思う。


 1-5.20200226


                 
        

信州 雪の浅間山 私の小学生の頃の小諸でのコマゴマ・・・

2020/ 01/ 17
                 
 浅間山恋ふる懐かし冬の空

 1-1浅間山 -


 浅間山を眺めると、小諸での思い出がよみがえります。

 小学校の冬の暖房は、石炭ストーブで暖をとりました。
 ストーブ当番の時は、いつもよりかなり早く登校します。
 千曲川が眼下に見下ろせる社宅から、急な坂道を上って、野岸小学校までは、それなりの距離があるのです。
 ふだんは、近所の遊び友達と一緒に登校するのですが、石炭当番のときは、一人だけで学校に行かなければなりません。
 牛乳配達のおじさんは、そういった冬のシーズンでも朝早く届けに来てくれます。
 私が家を出るころには、牛乳瓶の中の液体は既にうっすらと凍っているのです。
 シャーベット風になった牛乳を一気に飲み干してから、行ってきます!と大声で家の中に声をかけてから、玄関を飛び出していきます。

 1-3 雲海・・・

遊び・・・
 リンゴ箱で作った橇
 竹で作ったスキー
 スケートは、市販の下駄スケート
  ・・・建物の陰にある小学校の校庭は、冬の間スケートリンクになっているのです。・・・

 1-2 冬の浅間山.JPG

食べ物・・・
 信州ぐるみ
 ハチの子
 信州リンゴ