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三国志と人間学 「時局と学問」  安岡正篤

2019/ 06/ 16
                 
鉛筆で線引く箇所の古本か五十ページ後は真っ新(さら)さら



安岡正篤著『三国志と人間学』(発行所 稲村出版株式会社.「タイトル」自筆)
1-1三国志と人間学_
の第一講に、
〈 ・・・ どうもこの調子では今後どういう風になってゆくかと考えますと、とかく心が細くなってしまいます。これは誰しも同じことだろうと思います。 ・・・ 〉
と、記しています。
 いつの時代にあっても、時代の寵児たるものは慧眼鋭く時局を俯瞰してみているのだとつくづく思います。

安岡正篤氏は、三国の英雄時代に足を運ぶ前に、 〈 しかし三国志を学ぼうとすれば、どうしてもそれに先立つ前後漢四百年の、少なくとも後漢(ごかん)の初めぐらいまでは遡って、その間の歴史を一通り心得ておかなければなりません。ここにおもしろいのは、偶然の一致とは言え、その後漢の始まる直前の言い換えれば前漢最後の皇帝である平帝の元始元年が西洋紀元元年に当るということです。 ・・・ 〉
と、記述しています。


                 
        

八楽 清風・故人来る 心友 人生信絛 

2019/ 03/ 03
                 
  「故人」を辞典で紐解きますと。

 ・「学研 現代新国語辞典」(1994年4月1日初版発行.発行所株式会社学習研究社):
  ①古くからの友人。旧知。旧友。故親。古旧。②死んでしまって今はこの世にいない人。なき人。

・「広辞苑 第七版」(2018年1月12日第七版第一刷発行.発行所株式会社岩波書店):
  ①死んだ人。②ふるくからの友。旧友。③古老。

・「大辞林」(1988年11月3日第1刷発行.発行所株式会社三省堂):
  ①死んだ人。物故者。②古くからの知り合い。旧友。旧知。③文章生(もんじょうしょう)の中で、経験を積んだ老大家。④古老。

・「現代国語例解辞典[第二版]」(1993年1月1日第二版第一刷発行.発行所株式会社小学館):
  ①古くからの友人。②死亡した人。物故した人。

 と、記載されていました。


   八楽 

一 早起・花に澆ぎ日を賓ふ。

二 静坐・調息して体を練る。

三 朱を研って経を学ぶ。

四 詩を誦んで黒甜す。

五 汗を揮うて事を裁す。

六 清風・故人来る。

七 麦酒・軟玉・時事を放談す。

八 閑に塵事を脱して渓山に遊ぶ。



   八楽 (はちらく)

一 早起(はやおき)・花(はな)に澆(そそ)ぎ日(ひ)を賓(むか)ふ(う)。〈註1〉

二 静坐(せいざ)・調息(ちょうそく)して体(からだ・てい)を練(ね)る。

三 朱(しゅ)を研(す)って経(けい)を学(まな)ぶ。

四 詩(し)を誦(よ)んで黒甜(こくてん)す。〈註2〉

五 汗(あせ)を揮(ふる)うて事(こと)を裁(さい)す。

六 清風(せいふう)・故人(こじん)来(きた)る。

七 麦酒(ばくしゅ)・軟玉(なんぎょく)〈註3〉・時事(じじ〉を放談(ほうだん)す。

八 閑(かん)に塵事(じんじ)を脱(だっ)して渓山(けいざん)に遊(あそ)ぶ。

(〈註1:王陽明(王陽明)の文(ぶん)に賓陽堂記(ひんようどうき)の名作(めいさく)がある。〉
〈註2:ひるね。一沈黒甜(いっちんこくてん)の餘(よ)。《蘇軾(そしょく)詩句(しく)。》 〉
〈註3:豆腐(とうふ)のこと、鐺中軟玉(とうちゅうなんぎょく)香(こうば・かんば)し。《同前》 〉 )


【大意】安岡先生が選んだ八つの眞楽(真に心にかなう楽しみ)
一 早起きして花に水をやり、朝日を迎える楽しみ。
二 静坐し、呼吸を整えて、体調を整える楽しみ。
三 朱墨をすって漢文の古典に訓点などを朱筆しつつ、古典を学ぶ楽しみ。
四 詩を読んだ後、心充ちて昼寝をする楽しみ。
五 額に汗し集中して事を裁いていく楽しみ。
六 清風(せいふう)の中(なか)、旧(ふる)い心友(しんゆう)が訪(たず)ねてきてくれる楽(たの)しみ。
七 豆腐をさかなにビールを飲みながら、時事を放談する楽しみ。
八 忙中に閑を見つけて、俗事から逃れて自然の中に遊ぶ楽しみ。

 『安岡正篤 人生信絛』 (平成21年6月30日第一刷発行.発行所致知出版社)



                 
        

昭和 平成 新元号へ

2019/ 02/ 13
                 
 
 2月13日は、安岡正篤(やすおかまさひろ)の誕生日です。
 生誕から数えて121年(明治31年2月13日―昭和58年12月13日)となります。


 2月8日、政府は新元号選定にあたって、平成改元時の手続きを踏襲すると正式に決め、4月1日公布するとしました。
 「平成」の元号については、三つの時代の有識者から、それぞれ発案されています。
 昭和54年(1979年)、元号法の成立を受け、幾名かの有識者が新しい元号選定発案の任を委嘱されました。
 安岡正篤、宇野精一(東京大学名誉教授)、貝塚茂樹(京都大学名誉教授)等です。
 このとき、安岡が考案し提言したのが、「平成」(※注)です。
 ときの総理大臣をはじめとして、歴代首相の多くが、安岡正篤の薫陶よろしきを得たということもあったのでしょうか、新しい御代の元号は「平成」という共通認識があったと、時代の背景に深いかかわりを持つ幾人かの人物が言葉を紡いでいます。

 この時点における改元の手続きは、正式には天皇崩御の着手が適切。国民の印象や縁起上でも問題がないこと。などの基本認識を政府は共有していました。
 昭和天皇崩御の前、昭和58年(1983年)に、安岡正篤が亡くなっています。
 縁起上、物故者の考案による新たな元号は受け容れることはない…という政府としてのあり方は、元号「平成」選定にあたって避けて通れないものとしてありました。


(※注:安岡正篤考案拠所の「平成」は、『書経』の「大禹謨(ダイウボ)」篇「地平天成」を典拠としています。
【地(チ)平(たいら)ぎ天(テン)成(な)り】
  帝(舜:シュン)が(臣下の禹:ウ)に言いました
  地平らぎ天成り、
     (今や洪水が治まって)国土も平静に自然(の運行)も順調であり、
  六府(リクフ)・三事(サンジ)允(まこと)に治(おさ)まり、
     (その結果)六府・三事も誠に(よく)治まり、
  萬世(バンセイ)永く頼るは、
     (これからのち)万世も永く頼る(ことができる)が、
  時(こ)れ乃(なんじ)の功なり。
     これは(まったく)なんじの功績である。

※※「地平天成」の四文字を使った記述は、他に、『春秋左氏伝』文公十八年の記述の中で、昔話として舜の功績を讃えている文章に記されており、そのほとんど同じ文章が、『史記』五帝本紀にも記述されています。)




 「平成から新たな元号の時代へ

  新元号選定に当たり何人かの有識者が委嘱されました。
 その有識者会議の中で紡ぎ生み出された考案の一つを政府が採りいれました。
 「平成」です。

 ひるがえって、まもなく平成が終わろうとしています。
 新しい元号は、天皇陛下ご在任の中、有識者懇談会などに原案を示し意見を聴取した後、閣議を以って決定されます。


 新元号の基準は、次の6項目を掲げています。
(1)国民の理想としてふさわしい
(2)漢字2文字
(3)書きやすい
(4)読みやすい
(5)過去に元号やおくり名として使用されていない
(6)俗用されていない


                 
        

六然 活学

2019/ 02/ 08
                 
六然 (りくぜん)

自處超然
處人藹然
有事斬然
無事澄然
得意澹然
失意泰然
  〈明(みん)・崔後渠(さいこうきょ)〉


 自ら處(しょ)すること超然(ちょうぜん)
  人間は自分の問題となると、物にとらわれて執着したり、拘泥するものである。
  事に臨んで自分に関する問題から解脱し、抜け出せるように努めることだ。
 
 人に處すること藹然(あいぜん)
  人に対しては行為に満ち、温かい気分を持って對するのである。
  藹は草木の青々とした雰囲気をあらわす文字である。

 有事斬然(ざんぜん)
  何か問題があるとき、うろうろしたり、うじうじせず、活気に満ちきびきびしていること。

 無事澄然(ちょうぜん)
  何もない時は、氷のように澄み切っていること。

 得意澹然(たんぜん)
  得意の時は威張ったり驕(おご)ったりし易(やす)いものであるが、人間はその時あっさりしていることが肝腎である。まだまだ足りないという謙虚さを抱くことだ。

 失意泰然(たいぜん)
  失意のときは、ばたばたせずにゆったりと落ち着いていることである。

   (安岡正篤 活学語録カレンダー「照心語録」-財団法人郷学研究所・安岡記念館-)