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冬の読書

2015/ 01/ 12
                 
 冬の読書

 「読書の秋」とはいいますが、「読書の冬」とは聞いたことがありません。
 ということで、ブログの見出しは、「冬の読書」ということにしました。


 佐藤愛子の『晩鐘』。
(株式会社文藝春秋.平成26年12月10日第1刷)
 《表表紙》
「戦いすんで日が暮れて」から四十五年、佐藤愛子が人生のすべてを懸けて描く鎮魂歌
   私の夫であったあなたは、いったい何者だったのですか?
 《裏表紙》
 みんないなくなった――。
 誰もいない――。そして私だけがいる――。
 先生。
 これが「長生き」をするということなのですね?
 長生きがめでたいなんて、何も知らない者がいうことですね。
 長く生きるとはこういうことだったのです。老人が無口なのは、孤独に耐えているからなのですね。耐えているとは思わずに耐えている。その孤独をどういう言葉でいえばいいのかわからない。   (本文より)

 佐藤愛子の本を購入し、かつ読了したのは、数冊です。
 佐藤愛子は、小説家の佐藤紅緑を父とし、詩人のサトウハチロウは異母兄で・・・というような俗人的な耳学問と、北杜夫、なだいなだとの出会い、そして川上宗薫などとの長い交流を持ち・・・といった、文学世界の人と人とのしがらみの中で、佐藤愛子の名前をちらほらみかけるといった程度の知識しか持ち合わせていませんでした。
 彼女の作品は二度、芥川賞候補となっています。直木賞候補には二度なって、そのうちの、『戦いすんで日が暮れて(1969年)』が、受賞作となりました。
 ということで、佐藤愛子は、「芥川賞作家」といわれることなく、今を迎えています。


読み直している本

『私の上に降る雪は わが子中原中也を語る』
(株式会社講談社 1973年10月12日第1刷発行)
 この本は、村上護が、中也の母、中原フクの著述をもとにして編して著した本です。
 編者の村上護が解説のところで、中原フクさんを語っています。

 ≪中原フクさんは明治12年10月うまれ。そろそろ満95歳の誕生日を迎えられる。・・・書信は一日に十数通も書かれるという。・・・八十数年つづけておられるお茶(表千家流)に、いまもうちこまれて、その道にたゆまず精進されている。・・・これまでに、中也の遺稿などはもちろん、その身辺雑事まで調べがすすみ、中也の研究はすこぶるおおい。だが、中也の全生涯にわたる伝記ということで、一本にまとまったものは不思議となかった。その点、これは中也伝記の最初の本であるといえるだろう。中也三十年の生涯を中心にしながらも、彼が生まれる以前から死んでのちまで、フクさんの九十数年の人生経験の広がりのなかで、わが子中也をあらためてとらえたところが、つまり本書の意義かと思う。・・・≫

 讀賣新聞朝刊一面、下欄の書籍広告の左端に、『私の上に降る雪は わが子中原中也を語る』が載っていたのは、いつの日付だったのでしょう。この本の中に、その切れ端が挟み込んでありました。

私の上に・・・新聞広告①

私の上に降る雪は わが子 表紙②

 中原フクさんは、1980年、101歳でお亡くなりになっています。
 《「種田山頭火」、「尾崎放哉」、「坂口安吾」などをてがけた村上護(1941.11.28-2013.6.29)は、71歳で他界。彼の中原中也論も二階の方の本棚に置いてあります。》



『ゆきてかへらぬ 中原中也との愛』
 (株式会社講談社 1974年10月20日第1刷発行.1974年12月16日第2刷発行)
  この本は、村上護が、中也の恋人、長谷川泰子の著述をもとにして編して著した本です。
  編者の村上護が解説のところで、長谷川泰子を語っています。

ゆきてかへらぬ 

  ≪・・・詩をあまり事実の側に引き寄せるのもどうかと思うが、これは中原の念頭に長谷川さんのことがあって作られた詩(「無題.彼女の心は真っ直い! に始まる18行の詩」)に違いない。その他、中原の詩を読みすすめて行きあたるのは、その背後にある事実である。
 はたして中原が生きた時代を知らない者にとって、中也の詩をどう読んでいくか、ほかに方法はあるかもしれないが、いまは事実にかかわって、わたしは中原が詩によんだ長谷川さんを知りたいのである。・・・≫

 長谷川泰子は、小林秀雄とまだ一緒にいたころ、新劇の心座というところに所属していたことがあるといいます。
 歌舞伎の河崎長十郎が、池谷信三郎、舟橋聖一、村山知義たちと組んだ新劇団体で、今日出海が演出を担当していたことなど、時代を物語るに相応しい、錚々たる名前が出てきましたので、どんどんと読み進めていくことが出来ました。

 「・・・いまは事実にかかわって、わたしは中原が詩によんだ長谷川さんを知りたいのである。・・・」と、村上護は書いていますが、中也が彼女をおもう詩として、私が一番印象に深い一節は、この『ゆきてかへらぬ 中原中也』の中ではとりあげていません。
 「未刊詩篇」の「別離」と題した「5」の「1」の21行です。
別離
 1 
さよなら、さよなら!
いろいろお世話になりました
いろいろお世話になりました

さよなら、さよなら!
  こんなに良(よ)いお天気の日に
  お別れしてゆくのかと思ふとほんとに辛(つら)い
  こんなに良いお天気の日に

さよなら、さよなら!
  僕、午睡(ごすゐ)の夢から覚めてみると
  みなさん家を空(あ)けておいでだった
  あの時を妙に思ひ出します

さよなら、さよなら!
  そして明日(あした)の今頃は
  長の年月(としつき)見馴れてる
  故郷(こきょう)の土をば見てゐるのです

さよなら、さよなら!
  あなたはそんなにパラソルを振る
  僕にはあんまり眩(まぶ)しいのです
  あなたはそんなにパラソルを振る
さよなら、さよなら!
さよなら、さよなら!   (1934.11.13)



 昨年の12月16日に注文した、百田尚樹の『ボックス 上・下』。まだ連絡がないので本屋に行ったところ、もうちょっとお待ちくださいとのこと。随分前に発刊した本ですので、古本で買おうとも思ったのですが、もう少し待つことに致します。それにしても、1か月かかるのもあるんですね。

愛国論

 『愛国論(あいこくろん)』
発行所 KKベストセラーズ
2014年12月30日 初版第2刷発行
著者 田原総一朗・百田尚樹
 田原総一朗、百田尚樹、共に憂国の士であることを感じ得た対談となりました。
 とても読みやすい本でしたよ。

 『日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ』 発行所 ワット株式会社 2014年1月10日 第2刷 著者 安倍晋三・百田尚樹
は、「あとがき」から目を通し始めました。「・・・私には政治的な力は何もありません。ただ目指していることは、「小説」を通して、多くの読者に「日本の素晴らしさ」「日本人の美しさ」を伝えていくことです。・・・」と、百田尚樹は書いています。

日本よ、世界の真ん中で 咲き誇れ


 「週刊文春」、1月8日号から、百田尚樹の『幻庵』が連載開始となりました。
 1月15日号の【前回までのあらすじ】の末尾には、「・・・この物語は、江戸後期の文化・文政時代から幕末にかけて、碁会最高権威の[名人碁所]の座をめぐり、男たちが死闘を繰り広げた記録である。・・・」と、書かれています。



 冬の読書
『新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方』
新・戦争論
著者 池上彰 佐藤優
2014年12月10日 第4刷発行
発行所 株式会社 文藝春秋
 ☆⇒


冬の読書
『ブルース』
ブルース
著者 桜木紫乃
2014年12月5日 第1刷発行
発行所 株式会社 文藝春秋
 ☆⇒

冬の読書
『変見自在(へんけんじざい) プーチンよ 悪(ワル)は米国(べいこく)に学(まな)べ』
プーチンよ 悪は米国に学べ
著者 高山正之
 2刷 2014年10月10日
 発行所 株式会社新潮社
 ☆⇒


冬の読書
『人生の意味と神 信仰をめぐる対話』
人生の意味と神 信仰をめぐる対話
著者 ヴィクトール・フランクル
   ピンハス・ラピーデ
訳者 芝田豊彦、広岡義之
2014年9月1日 第1版第1刷発行
発行所 株式会社新教出版社
 ☆追補です。フランクルを一躍有名にした『夜と霧』(原題は『強制収容所における一心理学者の体験』。英語訳は『人間の意味探究』)は、世界二十四カ国で出版され、アメリカ図書館協議会の発表によれば、この本は歴史上これまで最も多く読まれた十冊の書物に数えられています。彼のナチ強制収容所(アウシュビッツとテュルハイム)体験に基づいたこの本は、わずか九日間で口述したと言われています。フランクルは、ウィーンの心理学者、フロイトとアドラーのもとで学び、やがて袂を分かつこととなります。彼はウィーン大学等で神経学・精神医学を教授し、ロゴセラピー(実存分析)という生きる意味を問う心理療法を設立した現代を代表する思想家であり精神科医でもありました。フロイトの精神分析学とアドラーの個人心理学の人間観と心理療法の限界を明確に認識して、それらを補強するものとして、ロゴセラピー(実存分析)を唱えました。
 フランクの対話者である、ピンハス・ラピーテは、ユダヤ人宗教哲学者あるいは、敬虔なユダヤ教徒・神学者として知られています。
 ユダヤ人二人の対話集を翻訳した、広岡義之氏は、「日本基督教団神戸平安教会」会員であり、芝田豊彦氏は、「フェローシップ・ディコンリー福音教団東鳴尾ルーテル教会」会員であることを申し添えさせて頂きます。
 訳者を代表して、「・・・読者の皆様には、フランクルおよびラピーテの信仰論を学ぶことによって、混迷する現代社会のさなかで「人生の意味」あるいは「神」の探求がいかにして可能かを考えていただきたいと願っています。」と、広岡義之氏は解説の最後の文章でくくっています。


冬の読書
『銀翼のイカロス』
銀翼のイカロス
著者 池井戸潤
2014年7月28日 第1刷発行
発行所 ダイヤモンド社
 ☆⇒再読しました。
 航空会社再建に絡む、合併銀行内部の策略と隠ぺいと暗闘。そこには必ず政治家の影が。
 そしていつものように、金融庁の黒崎俊一が登場し、どんでん返しの幕間に引きずり込んでいく・・・・・・・・・
 半沢直樹が導いたエンドレスをソラリゼーションした結末。巨頭落つというラストシーン。それを皮肉な結末と片づけていない、作者としての企業社会に対するメッセージがこめられている。 ・・・ そんな風に、読み直して感じました。