FC2ブログ
        

映画「沈黙」 遠藤周作小説「沈黙・死海のほとり・深い河」におけるキリスト教

2016/ 12/ 07
                 
 遠藤周作の著作物は、出版された本のうちのほんの一握りしか読んでいません。
 やはり一番最初に読んだのがご多分に漏れず『海と毒薬』(初出:1958年文藝春秋社刊)でした。
 『白い人・黄色い人』(初出:1955年講談社)、『月光のドミナ』(初出:1958年東京創元社)、『おバカさん』(初出:1959年中央公論社)、『狐狸庵閑話』(初出:1965年桃源社)などは、文庫本も含めて読んだ記憶はあるのですが、先ほど久しぶりに開けてみたダンビール箱の中には入っていませんでした。

 『沈黙』の初版は、1966(昭和41)年に、『死海のほとり』は、1973(昭和47)年に、そして『深い河』〈副題:ディープ・リバー〉の初版は、1993(平成5)年にそれぞれ刊行されています。
 『沈黙』(1975〈昭和50〉年2月5日.49刷.新潮社刊)と、『深い河』(1996〈平成8〉年10月23日.22刷.講談社刊)は出てきましたが、『死海のほとり』は見当たりませんでした。


 遠藤周作は、キリスト教をテーマにした小説など多くの作品を残しています。現在、作品が翻訳されている国は20ヶ国以上にも及び、刊行された作品は100冊を超えるとも言われています。

 日本人にとってのキリスト教の意味を問い続けた作家であることは、周知のとおりです。
 「週刊文春」の昭和45(1970)年11月2日号をみると、バチカン市国より、サン・シルベストリ勲章(通称:騎士勲章)を、昭和45年10月17日、遠藤周作氏が、三浦朱門氏、阪田寛夫氏とともに、駐日バチカン大使・ブーステンベルグ大司教の手により受章。という記事が掲載されています。
 ちょっと回り道をしますが、同じ「週刊文春」の昭和48(1973)年6月13日号には、「陛下が招いた文壇一のほら吹き男」のタイトルで、同年5月24日(火)に、遠藤周作氏がご婦人順子さんと共に「春の園遊会」に招かれたことが書かれています。この5月22日(日)から5月28日(土)までの一週間日記は、「狐狸庵先生行状記」とした、氏の筆によるものを一括編集した一部となっています。


 本線に戻ります。
 小説『沈黙』が発表された当時、長崎県と鹿児島県のカトリック教会は、この書を発禁本にさせています。
 何故か。

 その前に。

 グレアム・グリーンや、デイヴィット・ミッチェルなど、『沈黙』を絶賛する海外の作家は多く、同作品が2009年の英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき必読小説1000冊リスト」に選出されており、また、海外の読書好きが投票形式で決定する「日本文学ランキング100」では37位(2016年4月現在)にランクインしていることもその証と言えるでしょう。

沈黙 遠藤周作 新潮社刊 -
  手元にある新潮社刊の函入り本の中に、16ページに及ぶ小冊子が挟み込まれています。
 「長編小説「沈黙」の問題点 ――私は『沈黙』をこう読んだ――」というタイトルになっています。
 亀井勝一郎、江藤淳、会田雄次、川上徹太郎、竹山道雄、アルマンド・マルティンスの諸氏が執筆しています。
 
 「沈黙」の問題点とは何かと問う、その理由の一つに、発禁本となった背景があることが伺われます。

~~以下、別掲~~


〈※〉マーティン・スコセッシ監督によるハリウッド映画『沈黙』:日本での上映は、2017年1月21日。
 



深い河 遠藤周作 講談社刊