FC2ブログ
        

NHK 100分de名著 平家物語 義仲の最期

2019/ 05/ 22
                 
 ブログがスタートして、いつのまにか7年経っていました。
 変わらずお目通しいただきありがとうございます。

 これからはどんなものを記していこうか思案しています。



 平家物語は、NHK大河ドラマ『いだてん』と同じく史実をもとにしたフィクションの世界です。
 (話は横道に逸れますが、私も『いだてん』は気に入っています。毎週日曜日、総合夜8時、BS3夜6時、BS4K午前9時)
 NHK 100分de名著 『平家物語』の第3回は、「衰亡の方程式」と題して、「義仲の最期」の文中で、〈 義仲と今井四郎、清盛と重盛は、驕る者と諌める者という関係、そしてそれぞれの死に方が、まさに合わせ鏡のように描かれています。 〉と述べています。

 1-1-1平家物語


 能楽師安田登氏は、冒頭の「はじめに―鎮められるのは誰の魂か―」で、かく書き綴っています。

 〈・・・
 こんな体験をしました。まだ玄人の能楽師になる前です。客席で能を観ていたとき、ふと気づくと途中から能を観ていない。何をしていたかと言うと、ぼんやり自分のことを考え始めていました。しかも、普段は思い出しもしないような過去の記憶がふと意識の表面に現れる。
 以前、ある心理学者が言っていましたが、普段は思い出さないような過去をそのままにしておくと、あるときその思い出が自分に押し寄せて自分の人生を駄目にすることがあるそうです。たとえば、突然やる気がなくなったり、急に仕事を辞めたくなったり。私たちは、いまを生きるために過去の自分をどんどん切り捨てています。切って、捨てて、殺した自分がいる。その切った自分、捨てた自分が、能を観ているときにふっと出てくるのです。その衝撃が激しすぎる場合に、おそらく起きていることが不可能になって、寝てしまいます。よく言われる、能を観ると眠くなるという現象が起きる。これは、切り捨てた自分の魂が沈められるのではないか。これこそ現代における鎮魂なのではないのか。現代人が能を観る意味のひとつがそこにある、そう思いました。

 5-1ポピー白&オレンジ


 おそらく、中世以降に『平家物語』を聴いていた武将たちは、自らも人を殺してきた。そして平家の物語を聴きながら、平家の使者が、自分が殺した敵に重なり、さらには切って捨てた自分の過去とも重なり、心の中でその霊を鎮魂したのではないか。能を観ながら私はそう思ったのです。

5-3ポピー白一輪


 さて、そんな鎮魂の物語である『平家物語』は、現代の私たちからすると、人間論や組織論としても読むことができます。なぜ、平家をはじめとするあらゆる組織が衰退に向かうのか。どうすればそれを延命させることができた(かもしれない)のか――。『平家物語』で描かれる組織衰退のキーワードのひとつは「驕(おご)り」です。なぜ人は驕ってしまうのか。なぜそれが組織衰亡につながるのか。そんなことにも注目しながら、これから四回にわたり、『平家物語』を読んでいきたいと思います。

 5-4 ポピーレッド一輪


 大事なことをひとつ付け加えると、『平家物語』はフィクションです。実際に起きた歴史上の出来事をベースにはしていますが、細かいところで史実と異なる部分は数多くあります。また、『平家物語』の登場人物たちにはある種のキャラクター化が施されている場合が多々ある。今回は、実際の歴史がどうだったかということよりも、そうしたキャラクター化や象徴化に込められた意味を読み解きながら、物語としての『平家物語』を味わっていくことにしましょう。〉

5-6ポピーレッド一輪


『平家物語』 安田登
◇第1回 光と闇の物語 5月6日(再放送5月8日)
◇第2回 驕れるもの久しからず 5月13日(再放送5月15日)
◇第3回 衰亡の方程式 5月20日(再放送5月22日)
◇第4回 死者が語るもの 5月27日(再放送5月29日)
 ☆NHK Eテレ 100分de名著 2019年5月  
 ※放送:月曜日午後10:25~10:50
 ※再放送:水曜日午前05:30~05:55
         午後00:00~00:25




 『平家物語』巻九から「木曾殿の最期」

 
 信濃から兵を挙げあっという間に五万余騎となった味方の軍勢は、わずか半年にも満たずして、このときいつの間にか義仲の主従七騎となっていました。
 勢田で戦っていた今井四郎は、義仲のことが気にかかり、大津の粟津の浜に駒を進め行き会います。
 再会した二人のもとに味方の三百余騎が集まり、最後の戦いに打って出ます。
 義仲は僅かに残る二十余騎を以ってよく戦い防ぎ、遂に打出の浜に向け退きます。
 主従五騎+一騎(義仲、四郎兼平、多胡家包、手塚太郎光盛、邦和太郎弘澄、愛妾巴御前)となったのもあらばあれ、西軍はとうとう義仲と兼平の二人となってしまいます。

  3-1木曽義仲
    (木曽義仲)


 巻第九 木曾最期 〈 ・・・ 木曾殿の頸をば終に賜はつてんげり。太刀の鋒(さき)に貫き、高くさし上げ、大音聲を揚げて ・・・ 〉

 これを聞いた今井四郎は今はこれまでと、大刀を抜き鐙ふんばり、

 〈「今は誰を憚(かば)はんとて、軍(いくさ)をばすべき。見給へ東國の殿原、日本一の剛の者の自害する手本よ」〉
 と、大音声をあげます。
 そして、大刀の先を口にくわえ、馬からさかさまに飛び落ち、太刀に貫けられるようにして自決します。
義仲の乳母子として育った兼平は、主君より二歳年上の三十三歳でした。


 ~~~ 時に寿永三年正月二十一日、義仲は京に上って朝日将軍たること半年に満たず、三十一歳の若さでその生涯を閉じました。~~~



 2-1今井兼平
    (今井兼平) 


〈註:出処
 ・NHK 100分de 名著 2019年5月 『平家物語』安田登(能楽師)
 ・日本古典全書『平家物語 中』(富倉徳次郎校註.朝日新聞社発行.昭和31年5月20日第4版発行.)
 ・『兼平公八百年祭記念 今井四郎兼平』(著者竹内将人.発行所粟津史跡顕彰会.昭和48年12月21日発行) 〉