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このところの本 『御社のチャラ男』 絲山秋子

2020/ 02/ 29
                 
 書評見て書店に出向き注文しようやく手にし斜め読みする

 1-1御社のチャラ男(お) 絲山秋子 -



 このところ、そこそこの数の本(ウチ古本は一冊)を手元に置きました。
 その中から、先ずは無難な「タイトル」を冠した小説を選んで、読後感想文といたします。
 オムニバス風に仕立て上げた、会社勤めの諸氏による物語となっています。
 いじめあり、社内恋愛あり、浮気あり、妬みあり、おじさん、おばさんの悩みがあり…はてさて、どこに行きつくシナリオとなっているのでしょうか。

『御社のチャラ男』 著者 絲山秋子 
 発行所 株式会社講談社. 2020年1月21日第1刷発行

 当社のチャラ男(お)とは、三芳道造部長(44歳)のことで、どこの会社でもいそうな部長のキャラクターの臭いがします。
 本編の主役を務めるチャラ男も含めて、ジョルジュ食品(当社)の社員の中から15人を選び、彼ら(彼女ら)が一人ずつ登場して社内の人模様を描く構成になっています。
語り部たちによって浮き彫りにされてくるのは、チャラ男の人となりから醸し出される、会社・組織というもののしがらみの中に沈殿されていく日常の世界です。
そこはかとない身につまされる出来事が積み重なり、折り重なっていきます。

 ジョルジュ食品に、世間を騒がすあるトラブルが発生します。
 結果的には不起訴となった当社ですが、社長は交代します。
 同時並行的に、三芳部長は、こちらも不起訴となったのですが、自身の横領事件を切っ掛けとして退職します。

ジョルジュ食品は、代が変わって2年後に、大手のフーズ会社に吸収合併されます。この間に退職、転職した者も多くいます。

作者の絲山秋子さんは、小説の締め括りに、チャラ男の言葉を借りて次のように、読み手にメッセージをおくっています。

 幸せになるために生まれてきたのに、選んできたのは間違いばかりだった。山田さんは、人間というものはそういう生き物だと言った。才能がなくても、大失敗をしても、希望がなくても、それでも人は愛されたい。そして、生きていかなければならないんだ。
 チャラ男といのは、そういうことがわかる前段階なのかもしれない。ぼくはずっとチャラいと言われていた。自分がどうなりたいのか、さっぱりわからなくて、自信がなかったんだ。でも、人に見下されるのはいやだと思って、とりつくろったり、相手を否定したりした。でも、そんな人はきっとぼくひとりではない。別にぼくは特別な人間じゃない。何をしてもしっくりこなくて、間違った選択ばかりして苦しんでいる。チャラ男はいつの時代でも、どこの会社にもいるのかもしれない。生きるということはプロセスだ。つまり誰にでも「その後」はあるということなのだ。


 1-6.20200226