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『ノンフィクション賞』。

2014/ 09/ 05
                 

 今から44年前『大宅壮一ノンフィクション賞』が誕生しました。日本におけるノンフィクション賞の始まりです。
  大宅壮一(1900〈明治33〉.9.13-1970〈昭和45〉.11.22)の三女、評論家の映子(1941.2.23-)さんは、ゴルフが趣味です。夫、娘二人、孫三人の家族です。
 大宅歩(1932-1966)は、壮一の長男で、33歳で死去しました。彼は、中学・高校(日比谷高校)で、ラグビーをやっており、試合や練習でしばしば脳震盪など負傷したことにより、脳に障害を持つようになり、ときおり発作を起こすようになっていました。
 彼のノートに遺された詩文や散文などが遺稿集として、『詩と反逆と死』(文芸社1966年)と、『ある永遠の序章』(南北社1967年)と題して、相次いで発行されています。
 この二冊の初版本は、発売直後に手元にとりよせましたが、『ある永遠の序章・青春の反逆と死』(沖積舎1983年)は、私の移りゆく時代ということもあり、気づくということもありませんでした。
 同じく知らなかったということで、大宅歩原作と銘打っての映画、『残照』があります。河崎義祐監督作品で、三浦友和主演です。主人公が遠野翔。恋人の久美子役が原田美枝子、妹光子役が五十嵐めぐみ。両親(進吾と久子)役が、小林圭樹と司葉子。1978(昭和53年)4月29日、東宝系で封切されています。
映画では、自分の死を悟った主人公が、恋人との別れのシーンを余韻残るタッチで演出していますが、現実の世界としては、彼は東大卒業後、定職につくことはありませんでしたが、結婚して子供を授かっています。
 彼の遺文を載せて、冥福を祈ります。
≪ ・・・  睡眠の量はその長さにもよるが、深さを掛けて考えなければならない。私がその長さにおいて他人よりもはるかに多いのに深さにおいてははるかに劣っている。否睡眠に入る労働の径路においてくたびれるのである。いわゆる寝付きが悪いというシロモノだ。
 この疲労のウッセキが意識の忘れた頃台風のようにやってきて発作を誘う。  発作は完全に私を死の世界に追いやり十五分ほどでもとへもどり、その日その翌日頭痛を伴い、思考能力を完全に失わせるが私にとっては、安らぎの世界である。
 私はこうして死から生へと幾度となく世界を往復している感じがする。」

「健康な人より時計の針は完全に半廻りほど日付け変更線がくるっている。発作の前ぶれか。いや発作は前ぶれなしに怒涛のようにやってくる。発作を意識している時に発作は起きない。 ・・・ ≫




あらためて『ノンフィクション賞』

大宅壮一ノンフィクション賞
  公益財団法人日本文学振興会が主催。株式会社文藝春秋が運営。副賞100万円。
• 第1回(1970年)
〇 尾川正二『極限のなかの人間』(光人社)
〇 石牟礼道子(受賞辞退)『苦海浄土 わが水俣病』(新潮社)

講談社ノンフィクション賞
講談社が主催。副賞100万円。
• 第1回 (1979年)
〇 柳田邦男『ガン回廊の朝』(講談社)
〇 立花隆『日本共産党の研究 上・下』(講談社)

小学館ノンフィクション大賞
小学館が主催するノンフィクション(未発表原稿)を対象とした公募制の文学賞。
ノンフィクション作家の登竜門のひとつと位置づけられている。賞金は500万円(第13回までは1000万円)。
選考委員は椎名誠・関川夏央・高山文彦・二宮清純・平松洋子の5名。
•   第1回(1994年) 
〇 大賞 『狂気の左サイドバック』(一志治夫)
〇 優秀賞 『ショーン』(山下柚実)・『龍の伝人たち』(富坂聡)

開高健ノンフィクション賞
集英社主催、一ツ橋綜合財団後援。副賞300万円(単行本化の際は別途印税)。
未発表もしくは未刊行の作品を対象にした文学賞で小学館ノンフィクション大賞とともにノンフィクション作家の登竜門の位置づけにある。
• 第1回 2003年
〇  平岡泰博『虎山へ』、(優秀賞)姜誠『越境人たち 六月の祭り』、駒村吉重『ダッカへ帰る日―故郷を見失ったベンガル人』

新潮ドキュメント賞
財団法人新潮文芸振興会が主催。副賞100万円。
もともとは新潮学芸賞として1988年から2001年の第14回まで続いたが、2002年か
らノンフィクションを対象とする新潮ドキュメント賞と、評論・エッセイを対象とする小林秀雄賞とに分離した。
• 第1回 (2002年)
〇 高木徹 『ドキュメント 戦争広告代理店―情報操作とボスニア紛争』(講談社)


 第13回の、小林秀雄賞『月日の残像』(山田太一著作)、新潮ドキュメント賞『殺人犯はそこにいる』(清水潔著作)は、2014年8月29日に発表されています。
作者の受賞の言葉が、週刊新潮 9月11日号(№34)に掲載されています。

山田太一氏:
 現実にも夢にもこんなことがあるなんて思ってもいませんでした。世界が違うという気持でした。それはそれとして、小林秀雄氏の本は若い時からその折々の関心で長く読んで来ました。どう生きようとどう考えようと、その浅薄をきびしく突くと
いう存在になってもらっていたところがあります。御存命だったら怖くて逃げだすかもしれません。

清水潔氏:
  「足利事件」を含む5件の幼女誘拐殺人事件を追い始めたのは今から7年前のことです。本書には「足利事件」冤罪の可能性を報じ、「真犯人」と思われる人物を特定するまでの6年間にわたる取材の足跡を可能な限り記しました。しかし日本の犯罪史に残るこの重大事件は今も未解決、犯人は野放しのままです。今回の受賞で事件に再び光が当たることを祈っています。



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