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冬の詩 中也

2015/ 01/ 23
                 
  冬の長門峡  中原中也



長門峡(ちょうもんきょう)に、水は流れてありにけり。
寒い寒い日なりき。

われは料亭にありぬ。
酒酌(く)みてありぬ。

われのほか別に、
客とてもなかりけり。

水は、恰(あたか)も魂(たましひ)あるものの如(ごと)く
流れ流れてありにけり。

やがても蜜柑の如き夕陽(ゆふひ)、
欄干(らんかん)にこぼれたり。

あゝ! ――そのような時もありき、
寒い寒い、日なりき。


 中原中也詩集 〈愛蔵版〉
  昭和44年8月20日 発行
  著作者 中原中也
  編者  神保光太郎
  発行者 高橋謙
  発行所 株式会社 白鳳社









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