FC2ブログ
        

春の詩 のり子

2015/ 03/ 09
                 
 茨木のり子『さくら』
   《詩集「おんなのことば」より》


   ことしも生きて

   さくらを見ています



   ひとは生涯に

   何回ぐらいさくらをみるのかしら

 

   ものごころつくのが十歳ぐらいなら

   どんなに多くても七十回ぐらい

   三十回 四十回のひともざら

 

   なんという少なさだろう

   もっともっと多く見るような気がするのは

   祖先の視角も

   まぎれこみ重なりあい霞(かすみ)立つせいでしょう



   あでやかとも 妖しいとも 不気味とも

   捉えかねる花のいろ

 

   さくらふぶきの下を ふららと歩けば

   一瞬

   名僧のごとくにわかるのです



   死こそ常態

   生はいとしき蜃気楼と



20150310-1-
 〈庭のプチサクランボ-2015年3月10日撮影->

関連記事
スポンサーサイト



                 

コメント