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三浦しをん 新連載小説 『愛なき世界』 讀賣新聞10月12日より掲載

2016/ 10/ 05
                 
 今のところ、三浦しをんさんの作品は、2012年本屋大賞受賞の『舟を編む』と、文庫本になった『小暮荘物語』の2冊を読んでいます。
 
 東京・本郷を舞台とする、読売新聞掲載の新連載小説、『愛なき世界』が10月12日朝刊から始まります。
 2006年『まほろ駅前多田便利軒』で、直木賞を受賞してから10年が経っています。
 新聞連載小説は初めてとなる三浦しをんさん。その矛先がどこに向かっていくのか、今から楽しみです。

 《 洋食屋「円服亭(えんぷくてい)に住み込みで働く青年、藤丸陽太(ふじまるようた)は、花屋の女性と熟年恋愛中の大将の頑固さをぼやきながらも、料理修行に励んでいる。客の中には、謎めいた会話をするグループが。近くの大学関係者らしいのだが・・・・・・。植物学を知らない藤丸は、読者と同じ視線のいわば道案内役。「しだいに研究室の内部の人の視点に移っていくつもりです」 
 挿絵を担当するのはマンガ家の青井秋さん。「私自身がファンで、担当してもらえてうれしいです。線が繊細で人物の絵のほか植物や建物の描写もすばらしい」と力説する。
 タイトルに込めた深意は今は秘密。非情さを連想させる題名とは裏腹に語り口はコミカルで、クスッと笑えて温かい。9月に40代に突入したばかり。「肩こりがひどい」とぼやきながらも面白い物語をと、鉢植えの観葉植物に見守られパソコンに向かう。「読者が身近な植物に興味を持ってもらえるようにもしたい。楽しめる話になるはずです」
   (文化部 佐藤憲一)  》
 ~~2016年(平成28年)10月4日(火曜日) 讀賣新聞 文化欄 ~~


 三浦しをんファンの方、必見です。勿論、この新聞小説をきっかけに読んでみようかなと思った方も。私も毎朝、読売新聞の小説掲載ページをまっ先に見ることに致します。

 
 ※三浦しをん:1976年(昭和51年)9月23日、東京都町田市出身。


 補筆:
  『舟を編む』の作品について、阿刀田高さんが、2013年(平成25年)4月26日(金曜日)   讀賣新聞(夕刊)の「4月は舟」欄で述べています。
 氏は、早稲田大学文学部出身ですので、三浦しをんさんの学部の先輩に当たります。(阿刀田氏の専攻はフランス文学、三浦氏は演劇専修。)

 マイブログより、阿刀田高のエッセイともいえるような「言葉の海へこぎ行く」文を、今一度、転載してみることに致します。

《「4月は舟」
 若い人たちのあいだで三浦しをんの小説〈舟を編む〉がよく読まれているらしい。旧聞ながら昨年の本屋大賞受賞作品である。初めてタイトルを見たとき、
 ――――いいねえ――――
 と思った。小説のタイトルを決めるのはむつかしい。私はデビューして間もないころ古手の編集者から、
 「読者の九十パーセントはだれが書いているか、作者で本を選ぶんですよ」
 「そうでしょうね」
 「でも。あなたが松本清張や司馬遼太郎を名のるわけにいかんのです」
 「はあ?」
 「残りの十パーセントはタイトル。魅力的なタイトルをつけなきゃいけない」
 たっぷりとしごかれた。
 あれから四十年、よいタイトルについて私見を述べれば①言葉として整っていること②内容を巧みに暗示していること③読者に"おやっ"と思わせるものを含んでいること、などなどが標準的な条件だろうか。言語表現としてギクシャクしているのはよくないし、内容をあまりにもあからさまに表しているもの、逆に内容と関係の薄いものもいただけない。ほんの少し平凡さを超えるものであってほしい。〈舟を編む〉は右の条件をほとんどすべて満たしている。しかし、
 ――――舟って"編む"ものかなあ――――
 漕いだり造ったりはするけれど……。日本語としてやっぱり正しいものであってほしい、と思ったが、さらに確かめると、これは国語辞典を編む仕事がテーマとなっている作品で、広大な言葉の海を舟で行くことを言っているらしい。ますます、
 ――――いいねえ――――
 と思った。読んでみればまさしく辞書編集のくさぐさ。若い読者が日本語に関心を持ってくれるなら、さらに、
 ――――いいねえ――――
 である。三浦さんは面識のない作家ではない。ご尊父は古事記の権威で、こちらからも私は多くの示唆を受けている。
 ――――しをんさん、いい仕事をなさいましたね――――
 心から拍手を送りながらも、ほんの少し、
 ――――しまった――――
 と悔やまないでもなかった。ありていに言えば、
 ――――このテーマ、私が書きたかったな――――
 こういう感想は時折いだく。実際に書けるかどうかの問題ではなく、わけもなくうらめしい。日本語には私も関心があるし、辞書を創る仕事にも興味がある。私も小説に書いてみたいと……これは、まあ、コロンブスの卵というもの。それにしても言葉の海を舟で行くイメージはすばらしい。
 話は変わるが、舟は人間が一番最初に作った乗り物だろう。陸路はとにかく足で行くことができるが、川や海を行くとなるとどうしても工夫が必要になる。その手段を象形文字で現したらしい。
 舟を歌った詩歌はたくさんあるけれど、私は中原中也の〈湖上〉が好きだ。
 ポッカリ月が出ましたら、
 舟を浮かべて出かけませう。……
 ロマンチックな夜の恋。月と湖が美しい。 (作家)

~~ いま風   金曜日 時字  随想  阿刀田高 ~~



 阿刀田氏が好きだとおっしゃった、中原中也の詩「湖上」全文を載せておきます。

 湖上 
(中原中也 「在りし日の歌」日本詩人全集22 新潮社 昭和42年7月10日発行より)

ポッカリ月が出ましたら、
舟を浮かべて出かけませう。
波はヒタヒタ打つでせう、
風も少しはあるでせう。

沖に出たらば暗いでせう、
櫂(かい)から滴垂(したた)る水の音は
昵懇(ちか)しいものに聞こえませう、
――――あなたの言葉の杜切(とぎ)れ間を。

月は聴き耳立てるでせう、
すこしは降りても来るでせう、
われら接唇(くちづけ)する時に
月は頭上にあるでせう。

あなたはなほも、語るでせう、
よしないことや拗言(すねごと)や、
漏らさず私は聴くでせう、
――――けれど漕(こ)ぐ手はやめないで。

ポッカリ月が出ましたら、
舟を浮かべて出掛けませう、
波はヒタヒタ打つでせう、
風も少しはあるでせう。



三浦しをんさんのデビュー作後の受賞作品を載せておきます。

世に出てからは、古本屋でのアルバイト後、インターネット上で読書エッセイの連載を始める。平成12(2000)年に、『格闘する者に○』〈※〉で作家デビュー。
 (〈※〉:〇は「まる」と読みます。)

受賞歴・候補歴
◇『私が語りはじめた彼は』
 ・候補: 第11回島清恋愛文学賞〈平成16(2004)年〉
 ・候補: 第18回山本周五郎賞〈平成16(2004)年度〉
 ・第9位: 第2回2005年本屋大賞〈平成17(2005)年〉
◇『むかしのはなし』
 ・候補: 第133回直木賞〈平成17(2005)年上期〉
◇『まほろ駅前多田便利軒』
 ・第135回直木賞〈平成18(2006)年上期〉
◇『風が強く吹いている』
 ・第3位: 第4回2007年本屋大賞〈平成19(2007)年〉
◇『神去なあなあ日常』
 ・第4位: 第7回2010年本屋大賞〈平成22(2010)年〉
◇『天国旅行』
 ・候補: 第27回織田作之助賞〈平成22(2010)年〉
◇『木暮荘物語』
 ・候補: 第28回織田作之助賞〈平成23(2011)年〉
◇『舟を編む』
 ・埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2011[第1位]〈平成23(2011)年度)
 ・第9回2012年本屋大賞〈平成24(2012)年〉
◇『仏果を得ず』
 ・第2回Osaka Book One Project〈平成26(2014)年〉
◇『あの家に暮らす四人の女』
 ・第32回織田作之助賞〈平成27(2015)年〉





A World Without Love
- 愛なき世界-(ポール・マッカートニー作曲)
 ~ピーターとゴードンの最初のヒット曲 (1964年)~

Please lock me away
And don't allow the day
Here inside, where I hide with my loneliness
I don't care what they say, I won't stay
In a world without love

Birds sing out of tune
And rain clouds hide the moon
I'm OK, here I'll stay with my loneliness
I don't care what they say, I won't stay
In a world without love

So I wait, and in a while
I will see my true love smile
She may come, I know not when
When she does, I'll lose
So baby until then
Lock me away
And don't allow the day
Here inside, where I hide with my loneliness
I don't care what they say, I won't stay
In a world without love

So I wait, and in a while
I will see my true love smile
She may come, I know not when
When she does, I'll lose
So baby until then
Lock me away
And don't allow the day
Here inside, where I hide with my loneliness
I don't care what they say, I won't stay
In a world without love

I don't care what they say, I won't stay
In a world without love


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