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井上靖 詩 夕映え

2019/ 08/ 11
                 
 延々と夕焼けの空燃え上がるチャンス失するカメラパチクリ


西の空いっぱいが
夕焼けになっていました。
どこまでもどこまでも
赤く焼け続けている天空でした。
ゴルフの帰り道
ようやく一人になったので
車を停めました。
カメラを手にしたのですが、
時すでに遅し、
空はみすぼらしく終焉のときを迎えていました。
あれはいつだったでしょうか
これからも車に乗り込むときは、
カメラは忘れずに持っていくようにしたいと思います。



 秋の空 その2




  夕映え  井上靖

長い雨が終った日、一面に雑草に覆われた庭に対かいな
がら、半日を書斎の縁側の籐椅子に倚って過した。自分
が生きてきた過去の歳月もまた雑草に覆われてしまった。
そんな思いが俺を捉えていた。
その雑草に覆われた長い一本の道を振り返り、失意の日
を拾ってみようとしたが、失意の日は判らなかった。得
意の日を探し出そうとしたが、得意の日もまた判らなか
った。みんなぼうぼうたる雑草の中に埋まってしまい、
ただ烈しく夕映えの空に向って歩いた時のことだけが思
い出されてくる。いついかなる時のことしか知らない。赤
く焼けただれた天空の一画に向って、烈しく必死に歩い
ている。天を焼く火の粉を浴びて、俺も、俺の周囲を埋め
ている雑草もまた赤く燃えている。


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