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あるひのきみ

2013/ 04/ 29
                 
お留守番

 きみが一番きらいなことば「お留守番」。

 宏有さんが、彼女の母とアメリカに3週間ほど行っていたとき、私も出張で幾日か家を空けざるをえないことがありました。
 ムッちゃんの東京八王子の主治医の奈良先生のところに1週間ほど預けることになりました。
 きみがわが家に来てまだそんなに経っていなかった頃のことでしたね。
 
 ちゃんと迎えに行きましたよ。

 きみは会った途端、目を逸らします。
 私を見ようともしません。

 とにかく車に乗せました。

 帰る途中、荒川の堤で一休みすることにしました。
 きみは歩いている私の後ろ3mほどのところをついてきます。
 こちらが振り返って、「ムッちゃん」と呼んでも、尻尾を振らず、目も合わせず、二人の間を等間隔に保ちます。

 走らず、近寄らず、目も合わせず。
 横にも来ず、前にも行かず。
 トボトボと伏し目がちに歩くだけのきみ。

 (ムッちゃんは1歳半になってからわが家の家族になりました。栄養失調でみるからに痩せこけているのを、宏有さんの姉が見かねて手をさしのべ、妹の家にお仲人口をしたのです。義姉の懇意の奈良先生のところで3週間ほど養生させてからわが家の一員となりました。そういう経緯を辿っていますので、突然、私たちと会えなくなってしまった彼は、これから先のことをとても不安に思ったようです。たった一週間という私の感覚でしたが、彼にとっての一週間はどんな思いを巡らした日々だったのでしょうか。)


 あれ以来、きみは「お留守番」という言葉が一番嫌いになりました。
 「お留守番」とヒトコトいうと、途端にきみの目は輝きを失せ、意気消沈します。
 でも、それからは、お留守番した後は、「会える」「戻ってくる」ということは判りました。

 真夜中でも私の車の音がしはじめると、いつも玄関の上り口のところまで出迎えにきています。
 ただいまといって玄関をあけると、きみはいつも黙って尾を振って出迎えます。

 出迎えるときのやさしいいきみの目、すてきでした。



 
 
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