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秋の詩 ・・・ ボードレール

2013/ 09/ 16
                 
シャルル・ボードレール 秋の歌

   Ⅰ

 やがて冷たく暗い季節がやってくる
 短かった夏の光よ さらば
 はや中庭の敷石の上では
 薪の燃えさしが音を立てて崩れ落ちる

 冬のあらゆるおぞましさが忍び入る
 憤怒、憎悪、恐怖、戦慄、そして苦悩
 太陽は極地の地獄に沈み
 わたしの心は赤レンガのように凍てついた

 薪の崩れる音が聞こえる
 首吊り台がきしむよりも鈍い音だ
 わたしの心は 仮借ない槌の一撃で
 砕け散る塔のようにはかない

 単調な薪の音を聞いていると
 どこかで棺に釘を打っているようだ
 誰のために? 夏は去り今は秋!
 この不思議な音は葬送の調べのようだ

    Ⅱ

 わたしはお前の瞳の青い光を愛す
 だが今では その美しさが耐え難い
 お前の愛も 閨も暖炉も何者も
 海上に輝く太陽には勝らない

 わたしを愛し 母ともなって欲しい
 わたしがたとえ忘恩の徒 小悪党であっても
 恋人であれ 妹であれ
 秋のひと時を慰めて欲しい

 もうすぐだ 墓穴が口をあけて待っている
 ああ!お前の膝に顔をうずめ
 炎熱の夏を惜しみつつ
 秋の終わりのかすかな光を浴びさせてくれ  

・世界詩人全集 7 ボードレール 新潮社刊・所収

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