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秋の詩 薫

2013/ 09/ 20
                 
丸山薫 秋を航(ゆ)く

朝―――
涼風の中で顔を剃(そ)っていると
鏡の奥を
貝殻型した島が流れてゆく
 二つ 三つ と
噴咽をたなびかせて

サロンへ出る
みんな上衣を着込んだのに
ひとりだけ開衿シャツの船員がいる
――ふいに秋だね
――あさってあたりもう冬だろう
話の間にクシャミしている

空も雲もはるかに 歌っているようだ
歌に合わせて だが今日も
さんご海は
ゆれに
ゆれる


日本詩人全集 28 伊藤静雄・立原道造・丸山薫 新潮社刊・所収


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