FC2ブログ
        

秋の詩 道造

2013/ 09/ 20
                 
立原道造 Ⅱ やがて秋……

やがて 秋が 来るだらう
夕ぐれが親しげに僕らにはなしかけ
樹木が老いた人たちの身ぶりのやうに
あらはなかげをくらく夜の方に投げ

すべてが不確(ふたし)かにゆらいでいる
かへってしづかなあさい吐息(といき)のやうに……
(昨日でないばかりに それは明日)と
僕らのおもひは ささやきかはすであらう

――秋が かうして かへって来た
さうして 秋がまた たたずむ と
ゆるしを乞(こ)ふ人のやうに……

やがて忘れなかったことのかたみに
しかし かたみなく 過ぎて行くであらう
秋は……ふたたびある夕ぐれに――


日本詩人全集 28 伊藤静雄・立原道造・丸山薫  新潮社刊・所収



関連記事
スポンサーサイト



                 

コメント