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秋の詩 達治

2013/ 09/ 22
                 
「朝菜集」冒頭に、「師よ 萩原朔太郎」とその詩に謳っています。

 幽愁(いうしう)の鬱塊(うつくわい)
 懐疑と厭世(えんせい)との 思索と彷徨(はうくわう)との
 あなたのあの懐(なつ)かしい人格は
 なま温かい溶岩(ラヴア)のやうな
 不思議な音楽そのままの不朽の凝晶体――
・・・
・・・
 あなたはまた時として孤独者の突拍子もない思ひつきと諧謔(かいぎゃく)にみち溢(あふ)れて
 ――酔っ払って
・・・
・・・
 黒いリボンに飾られた 先夜はあなたの写真の前で
 しばらく涙が流れたが
 思ふにあなたの人生は 夜天をつたふ星のやうに
 単純に 率直に
 高く 遥かに
 燦爛(さんらん)として
 われらの頭上を飛び過ぎた
 師よ
 誰があなたの孤独を嘆くか


 三好達治が、朔太郎を終生師と仰いだことは、この詩によってもうかがい知ることが出来ます。
 
 朔太郎、朔太郎に近しい室生犀星、そして達治をして、ときに「漂白の詩人」という人もあるようですが、漂う先の見つめるものは三者三様であり、時代の後を追うものとしての三好達治の漂白性は、何分かのアイロニーが込められているにせよ、その先に何かを見出しているところにその違いがあるように思えます。



三好達治 秋風に

われはうたふ
越路(こしぢ)のはての艸(くさ)の戸に
またこの秋の虫のこゑ
波の音
落日
かくてわれ
秋風に
ただ一つ
わが身の影を
うながすよ



 三好達治 雪

太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。



日本詩人全集 21 三好達治 新潮社刊・所収







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