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梅鉢草

2014/ 03/ 15
                 
 田舎の家の本棚から、伯父の著書「白」を借り出してきました。

 この本の中に、飼い犬の「コロ」を表した文章が三つあります。
 何れも、コロのひととなりが伝わってくる、すてきな文となっています。



 梅鉢草

 十五夜の晩に 草花を植えた
 雲が出て薄暗く
 私はローソクをとぼして
 庭の隅をほつた。

 その日 赤城の山の地蔵ヶ岳の頂きで
 私は梅鉢草をこいで来たのだ
 たった二輪
 花は白く夕闇の中に咲いている。

 コロは軒下にねむり
 私の足音も知らぬらしくみえたが
 植え終つた足許に
 いつかそつと来て立つていた。

 暗い庭の手燭のゆらぎに
 弟が出て来
 娘が出て来
 妻が出て来た。

 みんなみんな 美しいと云つた
 十五夜の梅鉢草。

           (三二 九 八)





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