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遠藤周作の怪奇小説 『生きていた死者』

2020/ 06/ 20
                 

 周作氏怪奇小説あれこれと書いているとはつい知らなんだ

 5現代怪奇小説集


『遠藤周作怪奇小説集』は昭和45年(1970年)に刊行されました。
昭和35年(1960年)、「週刊新潮」に「周作恐怖譚」を連載後、『蜘蛛』という単行本にまとめました。
それに新作四編を加えたものが『遠藤周作怪奇小説集』です。
その中の一編が『生きていた死者』です。

 『現代怪奇小説集・下』〈編者=中島河太郎・紀田純一郎.発行所=株式会社立風書房.1982年5月10日重版〉は、半村良の『箪笥』が載っていたので買い求めた本なのですが、その中に遠藤周作の『生きていた死者』があることに、つい近頃気が付きました。

 ただいま、全集ものや諸作家の著作本を整理整頓している真っ最中です。
 半村良作品は、86冊〈うち同じ本が5冊〉ありました。
 そのうちの1冊のみ、この『現代怪奇小説集』だけが、他の作家の作品と並んで掲載されたものです。
 
 その中に、偶々見つけたのが、遠藤周作の怪奇小説の一遍だったというわけです。

6-1半村良86冊

                 
        

鯛百珍料理秘密箱 江戸時代の珍本

2020/ 05/ 16
                 
 あれやこれ読み直しする料理本鯛の調理はいまだ手がけず

 10-1 谷内六郎 女の子〈栗ひろい〉_


 このところずっと、鯛は食べておりません。
 結婚披露宴のおりの食事に供されたときに食べたかなとも思いますが、それもかなり以前のことではありますので、覚束ない記憶の片隅の一つとなっています。
 海老で鯛を釣ると昔からよく申しますが、我が家では鯛よりも海老となっていました。

 4-1 江戸時代の珍本 鯛百珍

 4-2 江戸時代の珍本 鯛百珍 前書き

 4-3江戸時代の珍本 鯛百珍 目次1

 4-4江戸時代の珍本 鯛百珍 目次4


                 
        

このところの読み直している本

2020/ 05/ 15
                 
  大波の大和国原まほろばの明けそむるらむ追ひし思ほゆ

 10-2 谷内六郎 舟が編むレース


 いかがお過ごしですか。
 五七五、五七五七七という短い文字で言葉を託すことができる私たち日本人。
 このところあれこれの本を読み直ししています。
 あれやこれや思い浮かべた気持ちをひとつにまとめ、読後感想文として短歌に詠みこみました。


日本が売られる    堤未果著 幻冬舎新書新刊  初出2018年10月5日
 1 日本が売られる

 〈 水と安全はタダ同然、医療と介護は世界トップ。そんな日本に今、とんでもない魔の手が伸びているのを知っているだろうか? 法律が次々と変えられ、米国や中国、EUなどのハゲタカどもが、我々の資産を買い漁っている。水や米、海や森や農地、国民皆保険に公教育に食の安全に個人情報など、日本が誇る貴重な資産に値札がつけられ、叩き売りされているのだ。マスコミが報道しない衝撃の舞台裏と反撃の戦略を、気鋭の国際ジャーナリストが、緻密な現場取材と膨大な資料をもとに暴き出す!〉~カヴァー紹介文章を転記~


Chaina 2049  秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」   マイケル・ピルズベリー著  野中香方子訳 日経BP社 日本語訳初出2015年9月5日
 2 Chaina 2049

 中華人民共和国は今から71年前の1949年10月1日に成立しました。
 あと29年ほどで建国100年を迎えます。

 著者は発刊に当たり、文末に5ページにわたって「謝辞」を載せています。
 その冒頭には、〈 本書執筆には50年を要した。もし、34人の中国人「儒将」と議論をしたりする稀有な機会が得られなかったら、本書は形にならなかっただろう。・・・〉と。


 超訳 日本国憲法   池上彰著  新潮新書 初出2015年4月20日
 3超訳 日本国憲法

 中学時代、日本国憲法の前文を丸暗記しました。
 それから幾星霜、そこそこの年齢になってから、般若心経を丸暗記しました。
 今でも憲法前文は口からすらすら出てきますが、僅か276文字の般若心経は、ところどころが行ったり来たりして、全文がつながらなくなっているような按配となっています。
はてさて、「超訳 日本国憲法」。
帯カバーに〈・・・国民必読、一家に一冊の最新版「憲法の基礎知識」。〉と書かれています。
 103条によって示されている日本国憲法を、僅か254ページの中にまとめて解説している本著です。
 ページ数のせいでしょうか、どうでしょうか。日本国憲法の超訳文中に「日本国民を守る」についての説明がないのです。基礎知識ではない事柄故に、載せていないのかななどとも思ってみたりしたのが、最初に読んだ時の第一印象でした。

                 
        

中国古代寓話集から 上手な諫言

2020/ 05/ 01
                 
  

 諫言は身の程知らずと弁えり

 その1 中国古代寓話集 東洋文庫



 家にいる時間ばっかりが増えています。
 読書三昧ということでもないのですけれど、終活の一つとして、引き続き、「断捨離」をするために、あちこちの段ボール箱からあれこれ本を出しては、捨てる前のお別れに・・・という気持ちで、これはと思った本を読み直して〈斜め読み〉いるところです。

 諫言したことありますか。
 箴言、讒言、戯言など、「言」のつく二文字の漢字、それぞれ意味深いものがありますね。



  上手な諫言 〈「准南子・人間訓」〉

≪ 魯の哀公が御殿の西に建て増しをしようとすると、吏官が強く反対して、
「西に建て増しをするのは、縁起がよろしくございません」
と言ったので、哀公は顔色を変えて腹をたて、おそばの者がなんども諌めたけれど、ききいれようとしなかった。そしてお守り役の宰折睢に、
「わしが建て増しをしようと思ったが、吏官たちは縁起がよくないと反対しおる。あなたはどう思うか?」
とたずねると、宰折睢が、
「天下には三つの不祥事がございますが、西に建て増しをすることは、それと関係ありません」
と答えたので、衰公はすっかり喜んだ。しかし喜んでしばらくしてから、
「その三つの不祥事とはどんなことか?」
とたずねると、
「礼儀を行わぬのが第一の不祥、嗜欲にとめどのないことが第二の不祥、たっての諫言に耳をかさぬのが第三の不祥でございます」
と答えた。
哀公はだまりこくって考えこんだが、やおら反省して、とうとう西の建て増しをやめにした。 ≫

  『中国古代寓話集』〈「東洋文庫」.昭和47年2月17日7版発行.編訳者後藤基巳.〉の「解説」冒頭で、編訳者の後藤基巳氏は、
≪ 本書を『中国古代寓話集』と名づけたことの当否については、読者諸君の忌憚にご批判を仰ぎたいと思うが、実をいうと「寓話」ということばは、中国語であるよりはむしろ日本的造語なのである。あとでも触れるように、中国には古くから「寓言」ということばがあるが、「寓話」ということばはない。
古い文献はむろんのこと、近代の代表的中国語辞典である『辞源』(1915)や、もっと新しい『辞海』(1947)にも、このことばは採録されていない。・・・≫

と、記しています。


                 
        

哀しみの女君たち ―『源氏物語』のヒロイン・二十四抄― 豊田芳子著

2020/ 03/ 14
                 
 哀しみの主役は女いつの世も


 1-1哀しみの女君たち 表紙
   著者 豊田芳子
   表紙 畔蒜多恵子
   題字 中村洋子




  〈 「大宮」って誰、と思われる方もいらっしゃるでしょう。彼女は光源氏の色恋に絡む話のヒロインとして登場する女性ではありません。ですから、知名度としてもこれまで取り上げてきた女君に比べ極端に低いはずですが、わたしはこの方がとても好きなので、ここに取り上げることにいたしました。…「大宮(おおみや)」122p  〉



 千年も前にさかのぼる平安時代中期の貴族の物語。
 源氏物語は絵巻としても、私たち日本人のみならず、世界の人々にもつとに知れわたっています。
〈『源氏物語』が発表されて約150年後の平安末期に、最初の『源氏物語絵巻』が描かれましたが、現在国宝に指定されているのは二つです。〉

 『哀しみの女君たち ―源氏物語のヒロイン・二十四抄―』は、令和2年(2020年)2月10日に発行されました。
 凡そ75年にわたる大河ドラマ『源氏物語』を、作者紫式部はどのような世界観をもって描いたのか。
 著者豊田芳子氏は、身分制度が徹底されている平安時代貴族の女性たちにスポットをあてた、それぞれの抄に登場する彼女たち一人ひとりが主人公であるという捉え方をして、焦点をあてて書きこんでいます。
 身分の上下による差別の烈しい貴族社会、そこに身を置く彼女たちのおもいのたけ、我が身になぞらえている場面も紫式部は演出していた、そんな風にも読み解くことができる本著となっています。
 言い換えれば、光源氏は主役ではない。彼は源氏物語のヒストリーをつなげていく狂言回しのような役割の人物・・・と感じた筆致で描いています。
 「哀(かな)しみの女君(おんなぎみ)」、一人ひとりにとっては、自分の身の回りのことの空間世界です。そのこと故に私たち読み手にとっては、『源氏物語』をいわゆるオムニバス風に俯瞰して眺めることも知らずのうちにしています。
 豊田芳子氏は、はたして私たち読者をどこに導き出そうとしているのでしょうか。
 たんに現代語訳を専らにするのではなく、選ばれたヒロイン・二十四抄の中に、著者のその答えが隠されているように思いました。
 登場するヒロインの中で六条御息所が一番好きな女君と、女史は記しています。
 何故好きなのか。興味が湧くところです。
 あと、2~3回読み直せば、さらに違った味わいも読み取ることができる、そんな思いを抱かせた一冊でした。



短歌草原叢書
哀しみの女君たち―『源氏物語』のヒロイン・二十四抄―
  令和2年(2020年)2月10日発行
著 者 豊田 芳子 
編 者 香川  節
発行所 短歌草原社
発 売 揺籃社
 

目次
序文 ・・・・・・・・ 香川 節 ・・・ 1
はじめに ・・・・・・ 豊田芳子 ・・・ 5
凡例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
第一部 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
 桐壷の更衣 16
 弘徽殿の女御 20
 空蝉 27
 夕顔 33
 紫の上(その1) 38
 末摘花 44

  〈 「源氏物語に登場する女性たちは皆、それぞれの不幸を背負っているけれど、その中でも一番幸せと言えるのは誰かしら?」と訊いた時、「末摘花」を挙げた方があります。「気がつかない」のは幸せ、つまり「鈍感力」が彼女の救いになっているというのです。末摘花の「鈍感力」は、この後も遺憾なく発揮されます。…「末摘花(すえつむはな)」46p 〉

 藤壷 51
 朧月夜 57

 〈 いとあるまじきことと、いみじくおぼし返すもかなはありけり(いかにもあってはならないことと、何度も何度も思い返してみるのだけれど、自分ではどうすることもおできにならないのであった。と、作者はこの時の光源氏の心境を記しています。
 理屈では割り切れない源氏の君の性癖がここに記されているのですが、これは千年経っても変わらない人間の性(さが)を鋭く言い当てている一文だと思います。…「朧月夜(おぼろづきよ)」64p 〉

 葵の上 66
 六条御息所 74

〈 生前には「生霊」となり、また死して後も「死霊」となって、光源氏の愛する女性に憑りつくという恐ろしいまでの情念の持ち主として登場する六条御息所ですが、意外にも「『源氏物語』の女君たちの中であなたが一番好きな人は誰ですか?」という質問には、「六条御息所」と答える読者が多いのです。私もその一人ですが、歌人の尾崎佐永子さんもその著書『源氏物語随想』において、次のように書いておられます。
以前、歌人の安永蕗子さん、馬場あき子さんと私の三人で「短歌」誌上で『源氏物語』の鼎談を永く続けている時期がある。その中で『源氏物語』の女君たちの中で誰が一番好きか、という話になった。その時、三人がまず挙げたのは異口同音に「六条御息所」だった。
なぜ私たちは「六条御息所」に心惹かれるのでしょう。それは彼女の女として苦悩する姿が、第九帖「葵」の巻、第十帖「賢木」の巻を通して、丹念に描写されているからだと思います。…「六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)74p」

 花散里 88
 
〈 近年、「癒し系」という言葉をよく耳にしますが、「花散里(はなちるさと)」は、まさにその「癒し系」の代表的な女性でありましょう。…「花散里(はなちるさと)」88p  〉

 明石の上 95
 秋好中宮 107
 朝顔 115
 大宮 122
 雲居雁 128
 玉鬘 137
 近江の君 145
 真木柱 151

 〈 玉鬘の出現で父親を奪われてしまった真木柱でしたが、三十余年の歳月の流れが、二人の立場をすっかり変えています。人生というものは、ほんとうに最後までどうなるか分からないものだ、と教えられている気がします。…「真木柱(まきばしら)」156p」

第二部 ・・・・・・ 157
 女三の宮 160
 紫の上(その2) 170
 落葉の宮 178
 
第三部 ・・・・・・ 187
 大君 190
 中の君 200
 浮舟 209

付 録 ・・・・・・ 227
 女君たちの出自一覧 227
 女君の関連系図 228
 『源氏物語』年立 230
 平安京内裏図 247
 主な参考文献 248

あとがき ・・・・・・ 豊田 芳子 ・・・ 249